発がん性を指摘される化学物質「PFAS」が全国の水道水で検出されている。安全な飲み水を確保するにはどうすればいいのか。20年あまりの間、PFAS研究に携わってきた京都大学の原田浩二准教授は「水道水のPFAS濃度が高いなら、浄水器を使うという方法がある。根本的ではないが、個人でもできる対策だ。9割以上除去することができると言われているが、選び方と、使い方に注意すべきポイントがある」という――。

※本稿は、原田浩二『水が危ない!消えない化学物質「PFAS」から命を守る方法』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。

コップに浄水器を通した水道水を注ぐ
写真=iStock.com/show999
※写真はイメージです

煮沸しても除去できない

毎日飲んでいる水がPFASを多く含んでいるとわかったら(※)、どうしたらいいでしょうか?

編集部註※「地域のPFAS検査の結果どうすればわかる?」を記事末に掲載しています。

煮沸しゃふつ消毒をしたら、除去できますか?」

よく、こう尋ねられますが、煮沸は揮発性の成分(残留塩素やトリハロメタン)を除くためには役立ちますが、PFASは一度水に溶けてしまうと、非常に蒸発しにくくなると言われています。おそらく煮沸しても分解しないし、飛んでもいかないのです。あまり効果はないと思われます。

「水道水を飲むのを止めて、ペットボトルの水を買って飲むのはどうですか?」

水道水のPFAS濃度が高いのであれば、地下水などを水源とした天然水を飲むという選択肢もありえます。しかし、こちらも、不安な報告があります。

「ボトル水101本中15本に混入」

米国で、NGOが101種類に及ぶボトルウォーターでPFASが混入していないか、調査を行いました。すると、15種類のPFASが検出され、最大濃度が18ng/L(※)に達したものもあったそうです。

編集部註※米基準は10ng/L

製造工程で入ってしまったのではないかと分析されています。

日本のメーカーではそんなにひどいことはないだろうとは思いますが、ペットボトルの水といえども安心して飲めるわけではないのです。