水の安全性も「住みやすさ」の評価に入れるべき

住む家を選ぶ際、駅に近くて便利とか、緑が多くて静かという立地が重要な条件になっていましたが、こうした飲み水の問題も出てきていることから、「飲み水の水質」も評価される必要があるのではないでしょうか。

生活環境にとって、水はとても重要です。これまでは「地下水なので水が美味しい」「料理も一段と美味しく感じる」と五感に訴えることがありましたが、健康への影響も考えていくべきです。

各種の汚染物濃度が低く、安心して飲める水を確保できる。そういうことを含めた「暮らしやすさ」をしっかりと考えていく必要があると私は思います。それが地域の環境の良さをアピールすることになると考えます。その基本はしっかり調査をした結果に基づく必要があります。

「水が美味しい」と言われた東京・多摩でも…

原田浩二『水が危ない!消えない化学物質「PFAS」から命を守る方法』(河出書房新社)
原田浩二『水が危ない!消えない化学物質「PFAS」から命を守る方法』(河出書房新社)

水が美味しいと言われた東京・多摩地域は、濃度が高い地下水の使用を止めて、利根川や荒川からの水を引き込んでいます。

おそらく川の水が主となるので、昔ほど多摩の水は美味しくなくなっているかもしれません。健康へのリスクを下げるためですが、地域の資源が損なわれたことは残念であると思います。

沖縄でも湧き水が豊富ですが、いくつかの場所ではPFASの汚染のために利用できなくなりました。湧き水は歴史的にも地域で利用されてきたものであり、飲めなくなった事自体が地域にとって大きな問題ではないでしょうか。