PFAS製品に囲まれて生きている
カーペットやテーブルクロス、それにランチョンマットなどは買ったばかりの新品だと、なにか液体をこぼしたとしても浸み込まずに、液体が丸くなって浮いたりします。これもフッ素樹脂加工の効果です。
キッチン用品で「焦げつかない」と言えば、フライパン。そんなフライパンはたいてい「テフロン」加工されていますが、テフロンはデュポン社の商標の一つで、その実態はフッ素樹脂加工のことです。最終加工された製品にはあまり残っていないとされますが、製造段階で多くのPFASが使われています。
それから、ファストフード店に行ってハンバーガーやフライドポテトを注文すると、包装紙や紙カップに包まれて出てきますよね。そのまま持って食べても手が油でべたついたりしません。というのも、この包装紙の表面にはPFASを使ったはつ油加工がされているので、油がにじみ出ないのです。コンビニで揚げ物を買ったときに添えられる袋も同様でしょう。
気がつけば、私たちの暮らしはPFAS製品だらけと言ってもいいのです。
「永遠に消えない化学物質」
それだけ便利で使い勝手もいい化学物質として、暮らしのあらゆるところで重宝されてきたのです。
ただ、壊れにくいということは、裏を返せば分解しにくいということでもあります。自然界では分解されることもなく長期にわたって残ってしまうという「問題」を抱えています。そんなことから、PFASは「永遠に消えない化学物質」(「永遠の化学物質」、「Forever Chemicals」)とも言われています。
日々の暮らしで、なにかの弾みでPFASが製品からはがれ落ちることがあります。
そんなPFASが家庭の排水から流れ出ると、川や海に流れ込み、どんどん自然界に広がっていきます。やがて、川や海で暮らすサカナなどが口にしたり、エラから摂り込んだりすることになり、それが回りまわって私たち人間の口に入ってくることにもなるのです。