くっつきやすく、排出されにくい

また、川の水は水道水として使われるので、水道水にも混じることになるし、土壌中に残ればゆっくりと地下水に浸み出して、井戸水を汚染することにもつながっていきます。

そもそも多くのPFASは環境中では薄く広がり、ある一定の大きさの塊になっていないので、目に見えないし、臭いもしません。だから、知らず知らずのうちに私たちの身体の中に侵入しているかもしれないのです。

厄介なことに、いくつかのPFASは一度摂り込まれると身体の血液成分にくっつきやすく、なかなか外に排出されません。

いつの間にか身体の中に蓄積されていき、それが私たちの健康に影響があるのではないかと言われています。

WHOの専門機関「発がん性がある」に引き上げた

実際、2023年11月にはインパクトのある発表がありました。

WHO(世界保健機関)の専門機関である国際がん研究機関(IARC)が、PFASの一種であるPFOA(ピーフォア)の発がん性を「可能性がある」から2段階引き上げ、「発がん性がある」と分類したのです。

発がん性の可能性は以前から指摘されていましたが、発がんにつながるメカニズムが確かであると専門機関が評価したわけです。

このほか、脂質異常症や甲状腺ホルモンへの影響、子どもの出生体重の低下傾向、それに免疫力が低下して感染症にかかりやすいといった健康への影響が、PFASの調査や研究から報告されています。

日本で行われている、化学物質の子どもへの影響を調べるエコチル調査でも子どもの染色体異常と関連するかもしれないとする結果が報告されました。

ただ、その全体像はまだまだわかっていない状況で、今後さらに新たなリスクが明らかになるかもしれません。