高齢者になって気分がふさぐときは何をすればいいか。精神科医の保坂隆さんは「昔と比べて長くなった老後を目いっぱい楽しんでいる人が増える一方で、『うつ病』になる人も増えている。うつ病への対策としては、精神的につらいなと思うことがあったら、すぐにその日を終わりにしてしまうといい」という――。
※本稿は、保坂隆『お金をかけない「老後」の楽しみ方』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
「早寝早起き」は高齢者の正しい眠り方
精神科を訪れる患者さんの多くは、「眠れない」「夜中に目が覚めてしまう」などと睡眠に関わる悩みを口にします。心の病と関連していることもありますが、ほとんどは「心配ありませんよ」というケースです。
高齢になると睡眠パターンが以前と違ってくるので、その変化に不安を覚える人もいるのでしょうが、これも「心配はありません」がほとんどです。
もっとも顕著な変化は、若い頃は苦手だった早起きが大得意になること。これは加齢により体内時計が変化し、血圧、体温、ホルモン分泌など、睡眠に関わる生体機能リズムが前倒しになるために起こる現象です。
朝早く目覚めるから、当然、夜は早く眠くなります。だったら早く寝て、早く起きればいいだけの話です。「早寝早起き」は加齢現象によるごく自然な睡眠パターン。高齢者の正しい眠り方なので、気に病む必要はありません。
加齢にともなうもう1つの変化は、夜中に目が覚めやすくなることでしょう。ちょっとした物音に目が覚めてしまったり、トイレに起きたり……。でも、これも多くが自然な現象なので心配はありません。
夜、眠っている間はずっと同じ深さで眠り、一定の時間がたつとだんだん眠りが浅くなって、やがて目が覚めるのだと思っている人も多いようです。しかし、睡眠の深さにはリズムがあり、「浅い眠り」と「深い眠り」を繰り返していることが分かっています。