ゴミ屋敷にはどんな人が住んでいるのか。心理カウンセラーの植原亮太さんは「うつ病や心の病によって『セルフネグレクト』になり、片付けられなくなっているケースが少なくない」という。初回は、生ゴミが捨てられない2人の事例を紹介しよう――。(第1回/全4回)

※事例は個人情報に配慮し一部加工・修正しています。

衣服などが乱雑に積まれた部屋
写真=iStock.com/Yusuke Ide
※写真はイメージです

ゴミ屋敷の4類型

「ゴミ屋敷」。――世間では迷惑な対象として取り上げられることがほとんどだと思いますが、実はこうして取り上げられるものの中には、精神疾患が関係していることも少なくありません。よくテレビで芸能人の部屋を「部屋」だとして面白く紹介する内容のものがありますが、精神疾患などが由来しているそれとは明らかに内容が異なっています。

本連載ではゴミ屋敷問題と密接に関係する、

① 「軽度」知的発達症(知的障害)
② 認知症
③ 統合失調症

など精神疾患別に内容と理解を深めていくのにくわえ、

④ その他の要因

という、ゴミ屋敷の4類型に言及していきます。

①②③は、脳機能の障害に由来します。生まれつき脳機能に課題があるか、途中で脳に変性・病変が生じるかして、生活機能が低くなっている状態です。④については脳機能に異常こそありませんが、うつなど心の病によって生活意欲が低下して「セルフネグレクト」が起きている状態です。向精神薬の大量服薬が関係していることもあります。

この4類型は、特に精神科領域に携わる方や福祉関係者には必須の理解です。

それでは順を追って、それぞれの理解を解説していきます。

まずは、①知的発達症が関係するゴミ屋敷について考えていきます。