タレントのフワちゃんがXに投稿した「暴言」がネット上で批判を集めている。神戸学院大学の鈴木洋仁准教授は「背景には、YouTuber出身タレント特有の危うさがある。特にフワちゃんは、無鉄砲なキャラでありながら『実はちゃんとしている』というイメージを持たれているので、余計にダメージが大きいのではないか」という――。
写真=時事通信フォト
口臭ケアサプリ・歯磨き粉の新商品発表会に登壇したタレントのフワちゃん=2021年4月14日、東京都港区

フワちゃんがSNSに投稿した「暴言」

タレントのフワちゃんが、大炎上している。よくあるXの炎上と思いきや、レギュラーラジオ番組の出演辞退をはじめ、影響が続いている。

そのポスト(投稿)は、8月4日の日曜日の昼下がり(14時43分)のことだった。タレントのやす子が2日前に書いた「やす子オリンピック 生きてるだけで偉いので皆 優勝でーす」とのポストを引用しながら、フワちゃんが「おまえは偉くないので、死んでくださーい 予選敗退でーす」と返したのである。

当該ポストをすぐに削除したフワちゃんは、それから約9時間後の同日23時41分に謝罪する。ただ、その間にInstagramのストーリーを更新し、水着姿の写真を公開していたことも指摘されており、火に油を注いだ。

騒動は収まらず、翌5日月曜日には、深夜(6日午前3時)に放送予定のラジオ番組「フワちゃんのオールナイトニッポン0」の休止が発表され、それについても、フワちゃん自身が、あらためて謝罪した。

当初は、Xアカウントの乗っ取りが疑われるほどだったが、続く謝罪に、その説は消え、ネット上では、フワちゃんへの集中砲火が止まる気配がない。

フワちゃんは、言わずとしれたYouTuber出身であり、大手事務所に所属していない。XやInstagramでの発信は、本人の思うままであり、制限がない。そうした危うさが、今回の大炎上を招いた原因と考えられよう。

YouTuber出身のタレント特有の危うさは、そこに限らない。特にフワちゃんは、出自を活かしたギャップ(萌え)で売ってきたからである。

本当は「いい子」というイメージ戦略

フワちゃんといえば、「消しゴムマジックで消してやるのさ」というCM(現在は非公開)でのセリフに象徴される「タメぐち」が代名詞である。大物タレントだろうが、学者だろうが、弁護士だろうが、誰かれ構わず、遠慮なく話しかける。言い方だけではない。内容も、件のCMのように、ぞんざいというか、端的に無礼である。

奇抜なファッションも「らしさ」を形づくってきた。スポブラ(スポーツ用ブラジャー)でヘソを出し、下半身はホットパンツ姿で、全身の多くを露出する。髪の毛は、お団子にまとめた上で、パステルカラーのヘアゴムやネックレスで固める。おしゃれなのか、ダサいのか。少なくとも、人前に出る格好として品行方正とは言いがたい。

突拍子もない行動が耳目を集めてきたし、テレビ収録への遅刻も、たびたびネット記事になるなど、非常識な振る舞いを続けてきた。

他方で、フワちゃんは支持されてもきた。タレントのベッキーは、「あの人にマジメを求めてどうするの?」とコメントしたと報じられている。それどころか、「実は敬語が使える」とか、「根はいい子なんです」とも擁護されてきた。フワちゃんが、テレビにとどまらず、世界的企業GoogleのCMでも求められてきた理由がここにある。

YouTuber出身の、常識知らずで、無鉄砲なキャラでありながら、その実は、ちゃんとしている。そのギャップ(萌え)にこそ、視聴者や広告代理店、そして大企業が魅力を感じてきたのではないか。この点は、炎上騒動が、なかなか鎮火されない原因にも通じる。