「文章力が低い」と思われる文章はどこに原因があるのか。横浜国語研究所代表取締役の福嶋隆史さんの書籍『塾へ行かなくても得点力がぐ~んと上がる!ふくしま式で身につく!国語読解力』(大和書房)より、わかりにくい文章の特徴についての解説をお届けする――。

読み手に対する意識が薄い

日々子どもたちの文章を添削していると、ある種の共通性が見えてきます。それは、「読み手に対する意識が薄い」ということです。

国語の学習ノート
写真=iStock.com/ikuyan
読み手に対する意識が薄い(※写真はイメージです)

たとえば、こんな文。

(A)思い通りに試合で勝ててうれしくて、あいさつをする前についガッツポーズをしてしまって後からコーチに注意された。

一見して分かるのは「て」の多さです。私はこれを、「ててて文」と呼んでいます。

次の文とくらべてみてください。

(B)思い通りに試合で勝つことができたため、うれしくなり、あいさつをする前についガッツポーズをしてしまった。そのせいで、後からコーチに注意された。

ちょっとカタい印象は受けますが、これが「読み手を意識した文」であり、書き言葉とはこういうものでなければなりません。

「関係を意識しているかどうか」が違う

さて、何が違うのでしょうか。

端的に言うと、「関係を意識しているかどうか」の違いです。

思い通りに試合で勝つことができた
 だから ↓ …………(できたため)①
うれしかった
 だから ↓ …………(うれしくなり)②
あいさつをする前についガッツポーズをしてしまった
 だから ↓ …………(そのせいで)③
後からコーチに注意された

先の短い文の中に、実は①~③の3つの因果関係があります。