「一文は短く!」を口ぐせにする
一文を、五文に分けました。すっきりしましたね。
「こんな整然とした文をわが子が書けるはずがない」
そんな声も聞こえてきますが、実は、それほど難しいことではありません。
とにかく、「一文は短く!」を口ぐせにすればよいのです。
ただ、それだけではやや不親切ですから、次のような観点を与えるとよいでしょう。
・こうすれば、一文は短くなる
①「まず結論、次に理由」の順序を意識する。
②接続語を入れながら、どんどん文を切る。
・①について
一文が長いと、文の述部(=結論)になかなかたどり着けないことになります。
イ 「コーヒーは嫌いだ。苦いから」
アとイの結論はどちらも「嫌いだ」です。
この結論に、より早くたどり着いているのは、どちらですか? そう、イですね。
もし、「苦いから」という「理由」の部分がもっと長くなったら、結論に到達できるまでの時間には歴然と差が出ます。それだけ、読み手の負担が増えてしまいます。
先の例でも同様です。船のほうがいい、といった結論が読み手に届くまでに時間がかかるAの文よりも、ズバリ最初に伝えているBの文のほうが優れていると言えます。
日本語における文の意味は、述部で確定します。できるだけ早く述部を読み手に伝える文こそが「分かりやすい文」であり、それは必然的に「短い一文」になるのです。
受験では「長い一文」も必要
・②について
Aの終盤の「飛行機のような速さはないけど、……」の部分が、Bでは、「飛行機のような速さはない。しかし、……」と書きかえられています。
「けど」を「しかし」に置きかえて、文を二つにしたわけです。
たったこれだけのことを意識し続ければ、文を短くすることができ、自おのずと分かりやすい文章になっていくのです。
ただ、残念なことに、読解問題の記述式設問の多くは、解答を「一文で」書かなければならないという暗黙のルールのもとに作られています。
80~100字といった長さであっても、です。これは、子どもの文章力向上を阻害する要因だと私は常々考えています。
とはいえ、受験に勝つには、そのような「長い一文」を意識して組み立てる力をも、身につけなければならないのです。