※本稿は、西村則康『「受験で勝てる子」の育て方』(日経BP)の一部を再編集したものです。
中学受験に親のサポートは不可欠
昨今、首都圏では中学受験者数が増えています。中学受験を考えるきっかけはいろいろだと思います。例えば「どうしても親と同じ医者になってもらいたいから、医学部進学に強い学校に入れたい」というものから、「近所の公立中学では物足りなさそう」「コロナ禍で学びが止まってしまった公立よりも、ICT(情報通信技術)の環境が充実している私立に行かせたい」「大学付属の中高一貫校でのびのびと過ごしてほしい」などさまざまです。
ここ数年でいえば、「揺れ動く大学入試を回避するために大学進学が保証されている付属校か、高大連携が充実している学校に入れたい」「新しい大学入試に対して情報が豊富で手厚い対策もしてくれる学校に通わせたい」など、大学入試改革を意識した受験が多く見られます。中堅校の受験者数が増加しているのも、そういった理由からなのでしょう。
しかし、どのような動機であっても、また志望校の偏差値に差があっても、中学受験には親のサポートが必要です。
30年前の開成中レベルの問題が偏差値40~50の学校で出る
まず、小学生の子どもに進路や勉強法、学習のスケジュールのすべてを「自主性に任せる」ことは不可能です。そこが高校受験や大学受験とは大きく違う点です。
また、中学受験の勉強に塾通いは不可欠ですが、塾に入れさえすれば成績が上がるなんてマジックは起こりません。塾は各教科の各単元の概念や解き方は教えてくれますが、それを自分のものにしていくには、家庭学習が欠かせません。家で学習フォローをしていくのは、多くが親です。
そういうと、「親である私が勉強を教えてあげなければ!」と思ってしまいがちですが、必ずしも親御さんが勉強を教えてあげる必要はありません。安心しましたか(笑)? いいえ、おそらく教えられないと思います。そのくらい今の中学受験の勉強はとても難しいものになっています。冒頭で「易しくなってきている」とお伝えしましたが、それは「以前よりは易しくなっている」というだけです。この本を手に取ってくださった方の中には、中学受験を経験されている親御さんもいらっしゃるかと思いますが、例えば30年前の中学受験で、首都圏の最難関校の一つである開成中で出題された算数と同じような問題が、今は標準レベルの問題として偏差値40~50の学校で出題されています。
また、近年の入試は「思考力」や「表現力」といった、親たちが子ども時代に学んでこなかった学力が求められています。このように、同じ中学受験でも親世代と令和時代とでは大きく異なっているのです。