※本稿は、西村則康『「受験で勝てる子」の育て方』(日経BP)の一部を再編集したものです。
中学受験に挑戦できるかの判断基準
12歳の子どもが挑戦する中学受験は、子どもによって向き、不向きがあるとよく言われます。しかし、私は基本的に中学受験に向かない子はいないと思っています。受験に向かない子は、高校受験でも大学受験でも、受験そのものに向かない子なのです。
ただし、中学受験に挑むからには、毎日の学習は欠かせません。また、小学校で学習する勉強よりも難しい内容を学ぶため、ある程度の基礎学力は必要です。
そこで、次の5つを判断基準にしてみてください。
①小学校のテストで、安定的に8割以上の点数を取れる
②宿題をきちんとやれる
③長時間椅子に座って、先生の話が聞ける
④毎日、家庭で学習する習慣が付いている
⑤親子関係が良好である
こうして見てみると、①から⑤のいくつかはクリアできている人が多いと思います。また、現時点でまだ学習習慣が定着していなかったとしても、親御さんのかかわり方次第で身に付くようになってきます。ですから、お子さん自身の現時点での学力や学習姿勢はそこまで心配する必要はありません。それよりも重要になってくるのは、「大人のかかわり」です。
中学受験には良好な親子関係が不可欠
中学受験は親のサポートがなければ成り立たない受験です。わずか10~12歳の子どもにこれだけ難度の高い勉強が求められるわけですから、それを横で励ましてくれる親の存在がなければくじけてしまうでしょう。
つまり、中学受験は良好な親子関係が築かれてこそ、挑戦できるものなのです。
わが子には幸せな人生を歩んでほしい――。これはすべての親の共通の願いだと思います。そして、その選択肢の一つとして選んだのが中学受験です。
ところが、いざ中学受験の勉強が始まると、それまではいつもニコニコしていたお母さんが成績のことでガミガミ言うようになったり、それまで勉強を見てくれたことなんてなかったお父さんが突然、鬼コーチのように勉強を教え始めたりと、豹変してしまうことがあります。
中学受験の目標は志望校に合格することです。だから、志望校が求める学力レベルまで、お子さんの成績を上げていく必要があります。中学受験をする学習面でのメリットは、「学習習慣が付く」「知識が増える」「考える力が付く」などが挙げられますが、それは正しい勉強のやり方をした場合です。しかし、一歩やり方を間違えてしまうと、すべてがデメリットに変わってしまうのです。