子どもは親子の会話を通じて言葉を習得すると言われている。どのような会話をすればいいのだろうか。横浜国語研究所代表取締役の福嶋隆史さんの書籍『塾へ行かなくても得点力がぐ~んと上がる!ふくしま式で身につく!国語読解力』(大和書房)より一部をお届けする――。

「親子の会話」は一番手っ取り早いトレーニング

言葉というものは、もともと、「話すこと」を通して習得するものです。

幼児期がその最たる例です。幼児期の言語習得手段は、読み書きではありません。

どの子も、自分の最も身近にいて最も長時間関わっている人物――親――と話すことを通して、言葉というものを学びます。

話すことで学ぶのは幼児だけではありません。小学生以上の子も同様です。

たしかに、小学生にもなれば読み書きから学ぶことも増えていきますが、それでもやはり、会話から学ぶ量のほうが圧倒的に多いはずです。

論理的思考力習得の基礎段階においても、親子での会話(※)が一番手っ取り早いトレーニングになります(※特に意識的に一対一で行うものは「対話」と呼びます)。

父親と母親に褒められる息子
写真=iStock.com/takasuu
「親子の会話」は一番手っ取り早いトレーニング(※写真はイメージです)

口ぐせにするべき言葉

さて、その対話型トレーニングのうち、「言いかえる力」(抽象化・具体化の力)を高めるために今すぐできる習慣があります。

それは、「つまり?」「たとえば?」を口ぐせにする、ということです。

「ねえお母さん、今日ね、アヤコがね、私のほうをずっと見てくんの、でね、何、って言ったらね、別に、とか言ってね、それでね、……」

たとえば、延々と続くこういった子どもからの訴えを、あなたはどう受け止めますか。

「ふーん」とうなずいている“だけ”では、子どもの国語力は育ちません。

いわゆるカウンセリング・マインドを発揮して、とにかく「聞き手に回る」という態度は、言語技術育成の観点では必ずしも好ましいものではありません。