多くの業界と同様、テレビ局も人事異動の時期を迎えた。この中で大きなトピックとなったのは、フジテレビの専務取締役だった大多とおる氏(65)が関西テレビの代表取締役社長に就任したこと。その大多氏が7月1日の就任初日で全社員向けの集会での衝撃的な発言が話題を呼んでいる。

新社長就任

大多亮氏はバブル期の1990年前後から一世を風靡したトレンディドラマを確立したプロデューサーの一人。

君の瞳をタイホする!』(1988年)から始まり、W浅野の『抱きしめたい!』(89年)、『東京ラブストーリー』『101回目のプロポーズ』(共に91年)、最終回が視聴率37.8%となった『ひとつ屋根の下』(93年)などを制作している。テレビ界屈指のヒットメーカーだ。

その大多氏が、カンテレの社長就任と同時にぶち上げたのがAIコンテンツ。

6月19日の株主総会では、「AIコンテンツで日本初を連発するようなイノベーティブな会社にする」と宣言した。そして、社長就任初日である7月1日の全社員集会で、AIの可能性を強調したのである。

例えばこんな発言があった。

「カンテレがAIアニメの制作を決定したと言ったら日本初かもしれない」

実は同社では、スタジオのセットをAIで描き、業務の効率化を進めている人がすでにいた。ところがAIへの挑戦を始めた彼らも驚いたのが、大多社長が披露した1分足らずの動画だった。

出席した社員によれば、冒頭から度肝を抜く映像だった。かに道楽よりはるかにデカいカニの怪獣が大阪駅前に現れ、「速報 阪急うめだ本店前にモンスター出現」のテロップ。

大多社長が披露した動画のワンシーン
画像作成=DeepManga
大多亮新社長の実写・実写を基にして作成したアニメ
画像作成=DeepManga

そこで連絡を受けた新社長が登場。実はこのアニメシーンは、写真の通り大多社長が歩く実写をアニメ化したものだった。そして社長は“IRON8”に変身。刀を背負っているので、さしずめ日本版アイアンマンだ。「8」の数字は、言わずと知れたカンテレのチャンネル番号だ。

ラストは「coming soon on your screen」。

つまり大多新社長は、生成AIを駆使してアニメなどテレビ番組を連打しようと考えている。