長谷川博己主演のTBSドラマ「アンチヒーロー」が絶好調だ。同時間帯の裏番組だけでなく、今春ドラマの中でもその人気ぶりが突出している。次世代メディア研究所代表の鈴木祐司さんは「日曜夜9時の同局の日曜劇場はここ2年間連戦連勝を続けている。背景にあるのはドラマの台本力。テレビCMだけに頼らない収入三本柱も確立し収益力も高い」という――。
新編成1カ月が経過した。
新たに始まった春ドラマの中では、長谷川博己主演「アンチヒーロー」(日曜夜9時)が頭一つ抜け出した。これでTBS日曜劇場は、このところ個人視聴率でずっとトップを行く。
なぜ同枠ドラマはかくも強いのか。特定層別個人視聴率も算出するスイッチメディア「TVAL」データから、連戦連勝のわけを解き明かす。
「アンチヒーロー」初回の衝撃
同ドラマの初回は4月14日。
この時の裏番組としては、テレビ朝日「ポツンと一軒家」2時間スペシャル、日本テレビ「行列のできる法律相談所」、フジテレビ「だれかtoなかい」などが放送されていた。
いずれも人気番組だが、「アンチヒーロー」は2位「ポツンと一軒家」に1.5倍以上の差をつけて独走状態だった。コア視聴率では2.5倍、Z世代(10代後半から20代)や女子高大生では3倍以上と大差をつけた。しかも「ポツンと一軒家」が強いとされる65歳以上の高齢者層でも視聴率は負けなかったのである。
日曜夜はテレビの前に最も視聴者が集まる時間帯だ。
各局も視聴率競争にしのぎを削り、強力な番組を並べてくる。結果として8時台は混戦状況だ。この日では、日テレ「世界の果てまでイッテQ」、TBS「バナナマンのせっかくグルメ‼」、NHK大河ドラマ「光る君へ」、テレ朝「ポツンと一軒家」の4番組が個人視聴率2%以内で接戦を繰り広げた。
ところが9時台は様相が一変した。
日テレやNHKから大量の視聴者が流出し、その一部を吸収したTBSが独壇場となった。8時台で奮闘したテレ朝「ポツンと一軒家」も、視聴者の一部を日曜劇場に奪われる始末だったのである。