「カフェチェーン」と聞いて、どこの店を思い浮かべるだろうか。
スターバックス、タリーズ、ドトール、コメダ……多くの人がコーヒー系をイメージしたのではないか。しかし最近、この傾向に変化が出てきた。「ティー」を主力商品とするチェーンがじわじわと勢力を伸ばしてきたのである。
スターバックスコーヒーが手がけるティー専門店「STARBUCKS Tea & Café」は2024年に入って出店を加速させている(現在14店舗)。また、タリーズコーヒーが運営するティー専門店「&TEA」も、2017年ごろからじわじわと数を増やし続けている(現在31店舗)。
さらには、日本を席巻したタピオカブームの寵児ともいえる「ゴンチャ」は、ティーチェーンとしてその勢力を拡大し続け、タピオカブームの終焉やコロナ禍などのマイナス要因をはねのけ、右肩上がりで成長を続けているという。28年までに国内400店舗に拡大する計画だという。
どうして今、ティーチェーンの勢いがあるのか?
根付かなかった「ティーチェーン」
ティーを中心メニューとしたチェーンストアはこれまで大きな存在感を発揮できなかった。
例えば、スタバ系のティー専門店であった「ティバーナ」は2017年、全米にあった379店舗を閉鎖した。コーヒーと同じぐらいのビジネスの成長が見込めないことがその理由だったが、スタバほどの規模感を持つ事業者でも、ティーを主体とした店舗の継続が難しいと判断したのだ。
ひところ、日本でもXを中心として「なぜ紅茶チェーンは広まらないのか」が話題になった。そうした投稿へのリプライとして、以下のような理由がポストされていた。
「コーヒーと比べて中毒性が弱く、来店回数頻度をあげることで利益を上げるファストフードには向いていない飲み物であること」
「そもそも紅茶自体が、アフタヌーンティーに代表されるように“ゆっくり”飲むものであり、カフェチェーンが志向する“ファスト”なスタイルとの親和性がない」
「そもそも茶葉の品質管理が大変で、かつ茶葉の種類が多く、チェーンオペレーションで均一にすることが難しい」
ティーという商材ではビジネス的な利幅が望めないことが、その拡大を阻んでいた。そんな見立てがあったが近年「ティーチェーン」がじわじわと勢力を伸ばし始めている。