独りよがりではない、バランスの取れた意見を作る方法

ステップ④ ツッコミを考える

自分の意見を作るために、「問い」を持ち、「前提」を定義して、「根拠」を作ってきました。

さらに、ツッコミを予想して答えておくと、独りよがりではない、バランスの取れた意見になります。

たとえば、カスタマーサポート部門で働くAさんが、「顧客対応に生成AIを導入すべきだ」という意見を上長に伝えるとします。

前提……Aさんは、日々の対応をする中で、応答が効率化すればより顧客満足度が上がると感じている

言葉の定義……ここでいう「生成AI」とは、顧客の問合せに自動で応答するシステムのことで、「顧客対応」とは、Webサイト上でのチャットを想定している

根拠……生成AIを活用することで、迅速な対応が可能になり、サポートチームの負担が軽減される。24時間対応が可能になるため、顧客満足度の向上も期待できる

ここまで聞いた相手が、ツッコんできそうなことを次のようにあげてみます。

「AIを導入すると、お客様から詳しいご意見を聞く機会が減るのではないか。AIの対応だと企業としての姿勢が伝わらないのではないか」

こうして、ツッコミを想定しておくと、そう言われたときにどう答えるかを準備しておけます。

相手の意見との妥協点(ちょうどいい落とし所)を見つけたり、さらに追加でデータを探しておいたり、AかBかを比較検討した上での、新しいC案を考えたりすることもできるでしょう。

「こう言われたら、こうしよう」を用意しておく

たとえば、今回の場合は、妥協点を探すなら、次のように考えられます。

さわらぎ寛子『言葉にする習慣 思いがまとまる・伝わる「言語化力」の身につけ方』(明日香出版社)
さわらぎ寛子『言葉にする習慣 思いがまとまる・伝わる「言語化力」の身につけ方』(明日香出版社)

・チャット対応は、生成AIを導入して24時間対応に。電話を好むお客様には、従来のサポートデスクに電話してもらえるようにする

こうして、ツッコミを先に考えておくと、もとの意見よりも、さらに深く検討した意見が作れるようになります。

プレゼンをしたり、人前で何かを発表したりするときや、またはセールスや接客の場でも、「相手からこういう質問やツッコミが来たらどうするか」をいくつか隠し持っていると安心です。

「なんか言われたらどうしよう」「質問されたらどうしよう」ではなく、「こう言われたら、こうしよう」を事前に決めておく。意見を言うのが怖くなくなるコツです。

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