少しでも長く眠っていたい――。そう願う社会人に「だらだらするな」と世間の目はきびしく注がれるが、人の睡眠時間は千差万別。そして、「忙しいからと睡眠時間を削っては元も子もない」と声をそろえるのが、2人のタイムマネジメントの専門家だ。

山本武史氏は、どんなに忙しくても、体調管理に必要な睡眠時間はしっかり確保することが鉄則だと語る。

山本武史 Takeshi Yamamoto 組織マネジメントコーチ/ポテンシャルビジョン代表 製薬メーカーの営業職を経て、2013年にプロコーチ・研修講師として独立。タイムマネジメントやメンタル強化のノウハウを教えながら、組織力強化をサポートする。

「仕事が忙しいという理由で睡眠時間を削ると生活のバランスが崩れて、結果としてパフォーマンスが低下します。『忙しくて眠っていない自慢』はもはや昭和の遺物であり、今の時代では生産性の低い人として認識されるでしょう」(山本氏)

滝井いづみ氏は睡眠時間はもちろん、食事や家事などの「生活時間」と、趣味や家族とのコミュニケーションといった「プライベート時間」が仕事時間を支えていると唱える。

「仕事のパフォーマンスを上げたいならば、仕事以外の時間を充実させる必要があります。その中でも特に睡眠時間は軽んじてはいけません」(滝井氏)

そして、もし「1日10時間の睡眠を取りたい」と望むのであれば、時間管理に着手するよりも前に、「10時間眠る必要性」をしっかり見定める必要があるという。

「たとえば、仕事の能率を上げたいのであれば、10時間眠る以外の方法も考えられます。そこを深く検討せず『10時間眠る』だけが目的化して、そのほかの時間を削ってしまうのはあまり意味がありません。まずはそれだけの睡眠時間を確保する目的をはっきりさせておきましょう」(滝井氏)

「1日24時間の中から10時間の睡眠時間を確保するのは簡単ではありません。まずは『体調を維持する』『長生きしたい』など、睡眠が必要な目的意識を明確にする。そのうえで、一日のスケジュールの中で睡眠時間を最優先にすると決意しないかぎり、継続は難しいと思います」(山本氏)

時間配分のカギは「エネルギー管理」

それでは、睡眠時間を確保するため、どうやって時間管理をしていけばいいのか。スケジュールの設計としては、24時間から睡眠の10時間を引き、残りの14時間でやるべきことを洗い出す必要がある。全体像を把握するために、まずは一日の行動記録を取ってみるとよい。

「数日でも行動を記録すると、何にどれだけ時間がかかるか、どんなことで時間を無駄にしているかが可視化されます。他人に行動の改善を指摘されて素直には従えないことでも、自分でつけた記録で気づいたことはすぐに変えやすいのもポイントです」(滝井氏)