とくに攻撃的な性格ではないのに、なぜかまわりから反感を買いやすい人がいます。敵をつくりやすい人は、周囲から信頼を得ていないのでしょう。たとえば部下から信頼を得ていれば、きつい言葉で叱っても相手はしっかり受け止めてくれます。しかし、近くを歩いているおじさんにいきなり同じことを指摘されたら、たとえ正論でもカチンときます。発言内容は関係ありません。敵をつくるかどうかは、信頼関係しだいです。
まわりから信頼される条件はいくつかありますが、なかでも大切なのは、相手を褒める気配りでしょう。そういうと、褒め慣れていない人は心理的な負担を感じるようです。しかし、大げさに褒める必要はありません。褒めることの本質は、相手を認めてあげることです。「すごいな」と大きなアクションで驚いたりする必要はなく、相手の肩をポンと叩いて「頑張ってるね」と一言添えるだけで、信頼感が醸成されていきます。
自慢話をする人も要注意。嫌われる上司は、部下を激励しているつもりが、いつのまにか「俺はこんなに仕事ができる」「自分の若いときはもっと頑張っていた」と自慢話にシフトしてしまう傾向がある。こういう人は部下に反感を持たれて職場で孤立しがちです。
生命保険のトップセールスには、この手のタイプが少なくありません。もともと一匹狼でチームマネジメントを苦手としている人が多いのですが、成功体験が豊富なので、つい自慢話をしてまわりから顰蹙を買うのです。
ただ、知り合いのトップセールスの中には、マネジャーとして成功した人もいました。その理由を尋ねると、ある人は「いつも失敗談を話していた」と答えてくれた。これは重要なヒントです。失敗談は相手の共感を呼び、親密感を増す効果があります。仕事以外のプライベートを明かしていくのもいい。いずれにしても同じ目線で話すことが大事です。