行動を計測すれば思考も変えられる

もともと気配りは苦手で、いまさら考え方を変えるのは難しいという人もいるでしょう。そこで参考にしてもらいたいのが行動科学マネジメントです。行動科学マネジメントとは、行動分析学をベースとする人材育成メソッドであり、行動の積み重ねで目標を達成させる科学的なマネジメント手法のこと。これはセルフマネジメントにも活用できます。

この手法では、人の思考も「考える行動」としてとらえます。思考を変えるには、まず思考を可視化して計測することが大切です。よく使われるのは輪ゴムによる計測法です。仮にポジティブシンキングを身につけたければ、右腕に複数の輪ゴムをかけ、マイナスの発想が浮かぶたびに輪ゴムを左腕に移します。このように頭の中を可視化して、プラスの輪ゴムの数が少しずつ増えるように思考=行動を変えていくのです。

行動科学では、コントロールしたい行動をターゲット行動と呼びますが、気配りのターゲット行動として計測するのは「挨拶した」「一声かけた」といったことでいい。コミュニケーションは1回の濃さより回数の多さに影響を受けます。軽い一言でも、回数が多いほうが人間関係はよくなります。

部下との関係に悩んでいたあるマネジャーは、机の上に全員の名前を書いた表を貼り、1人1人と会話したかどうかを毎日チェックしたところ、コミュニケーション量が増加。職場の雰囲気が明るくなり、離職率も改善したそうです。

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信頼関係はコミュニケーションの量で決まる

自慢話が多い人は「質問する」をターゲット行動にしてもいいでしょう。コミュニケーションの基本は、話すことより聞くことです。ところが自慢の多い人は、自分の話ばかりして相手の話を聞こうとしない。これを変えるために質問した数を数えるのです。

いくつかターゲット行動を紹介しましたが、最初は1つに絞ってください。急に無理をすると続かないので、行動チェックも週に1回か2回でいい。最初はハードルを低くして、少しずつ回数やターゲット行動を増やしていきます。

下手に1カ月で行動を変えようとしてはいけません。職場の人たちは、5年、10年、場合によっては一生一緒に働く仲間です。無理をせずに1~2年かけてじっくり行動を変えていったほうが、いい関係を築けるはずです。

行動科学マネジメント研究所所長 石田 淳
日本の行動科学マネジメントの第一人者。米国のビジネス界で大きな成果を上げる行動分析を基にしたマネジメント手法を日本人に適したものにアレンジし、「行動科学マネジメント」として確立。主著に『教える技術』。
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(構成=村上 敬)