リクルートホールディングスが、来年春を目途にインターネット通販事業に参入するという。楽天、アマゾン、ヤフーが先行する国内市場において、衣料品から家電、日用品、家具などを幅広く扱う。ここ数年、BtoC市場はほぼ年率2桁の成長を続け、経済産業省の調査によれば、2010年で約7兆8000億円に上る。
比較的新しいビジネスだけに潜在性も高く、野村総合研究所(NRI)の試算では、今年度中には10兆円を見込む。同社コンサルティング事業本部の木ノ下健氏は「当社が今年夏に実施した『生活者1万人アンケート調査』でも、ネットショッピング利用者の割合が全世代で38%。30代でも60%と、拡大余地が多いことで、小売り・通販会社も参入を狙う」と話す。
その背景には、3000万台まで普及してきたスマートフォンがある。パソコンとは異なり、ユーザーは常に携帯している端末で移動中に目当ての店を検索して入店することはもちろん、店頭で実物を見て、その最安値情報をネットで探して購入する。つまり、オンラインとオフラインを適切に組み合わせながら買い物をするという行動パターンが目立ってきている。
従来、小売りチャネルとネット通販は別物という切り分けで進んできた。だが、木ノ下氏は「この両者の融合によって、ネットショッピングが拡大する一方で、リアル店舗の集客力アップにもつながる」と分析する。こうした相乗効果に加え、より使いやすいインフラも整備されるはずで、当分は右肩上がりで推移していきそうだ。
(ライヴ・アート=図版作成)