1円違うだけでも集客には差が出る
かつて大型家電の最安値を調べるには、店舗を歩いて回る必要があった。しかしいまではインターネットの価格比較サイトを使えば、全国最安の価格がすぐにわかる。価格が一目でわかれば、最安店に人気が集中するように思うが、実態はどうか。
人気ショップ「PCボンバー」を運営するアベルネットの今井浩和事業部長は、「最安値には高い宣伝効果がある」という。
「たった1円違うだけでも集客には差が出る。顧客の店選びも最安値が基準になっているはず。広告で集客を狙うよりは、相場での戦いに資本を集中させたほうが効率がいい。ただ商品価格だけではなく、送料や保証、支払い方法、それにショップの評判なども影響するだろう」
比較サイトでは、商品価格の安い順にショップが順位付けされる。まず表示されるのは送料を含まない価格だ。送料込みで並び替えられるサイトもあるが、本州以外など地域によって送料が異なる場合がある。人気商品では1円単位で順位が争われているから、送料を考慮すると順位は大きく変わる。
ネット通販では、保証への対応も重要な要素になる。現在、大手量販店の多くではメーカー保証とは別に、独自の修理保証サービスを提供している。ネット通販では対応はまちまちだ。
支払いについても注意が必要だ。2007年、最安値の常連サイト「PCサクセス」の運営会社・サクセスが自己破産した。この際、破綻直前に代金を前払いし、商品を受け取れなかった消費者が2000人ほどいたとみられる。代金引き換えやクレジットカード決済ならば安全性は高いが、後者ではショップが手数料を負担する必要があり、未対応の店舗も多い。カード未対応のPCボンバーでは、「最安値を追求すると対応は難しい」(今井氏)と説明する。