投信販売の際に強調されるのは?

金融商品の収益率を示す数字として注目されるのが「利子率」だ。単に「利率」と言うこともある。たとえば利率が年3%だとすると、元本100万円を想定した場合、毎年3万円の利息が得られる計算になる。これは、おそらく誰にでもわかることだろう。では、「利回り」は?

多くの人は、利率と利回りは同じ概念だと思っているのではないだろうか。しかし、厳密に言えばこの2つは違うものだ。

出典:鈴木雅光氏の話をもとに編集部作成

利回りとは一定期間、複利運用したことで得られる利息を1年あたりの額に平均化し、その率を示したものだ。この「年平均利回り」を省略して、単に「利回り」と称している。

たとえば「1年複利」なら、1年間運用して得られた利息を元本に組み入れ、次の1年間運用する。運用期間が長くなるほど、徐々に元本部分が増えていくため、同じ利率でも手取りが多くなる。

100万円の元本を年3%の利率で5年間、1年複利で運用した場合の元利合計額を計算するといくらになるか。

1年目は、100万円+(100万円×3%)=103万円。2年目は103万円+(103万円×3%)=106万900円……というふうに複利計算していくと、5年で元本は115万9274円に増える。

対して、複利計算をせず、単純に年3%の利率で5年間運用した場合の元利合計金額は、115万円になる。つまり、1年複利で運用したほうが、9274円も利息が多くなる計算だ。

100万円の元本に対して、5年間で15万9274円の利息が得られたということは、1年あたりの利息は3万1855円になる。これが年平均の利息額であり、それを元本に対する率で示すと3.185%で、これが年平均利回りだ。