ちなみに、利率は小数点以下2ケタ、年平均利回りは小数点以下3ケタまで表示するという慣行になっている。

年平均利回りは、複利運用効果が得られるため、利率に比べて数字が高く表示される。しかし、利回りはあくまでも所定の期間、運用した場合という前提条件のもとで計算されるため、その期間で運用しなかった場合は、利回りで表示された通りの利息が得られないケースがある。金融商品を購入する際には、この点に留意しておく必要がある。

金融商品によっては、中途解約に際してペナルティレートを適用するものもある。スーパー定期などがそれだ。スーパー定期は、預入期間3年以上のものについては複利運用が行われるが、満期前に解約すると、適用される利率は、表示されているものに比べて大幅に低減されてしまう。したがって、預け入れ時点で表示された利回りに沿った利息は得られないことになる。

変動金利型の金融商品で、利回りが表示されているものについても、マーケット動向次第で利息の額が変わってしまうケースもある。たとえばMMFやMRFなどがこれに該当する。

両者とも投資信託の一種であり、金融市場の動向によって利回りが変動するだけでなく、表示されている数字はあくまでも過去の運用で得られた収益を利回り表示しているものだ。ゆえに、将来も表示された利回りで運用されるという保証がない。

もし、金利低下局面で購入したら、購入時に提示されていた利回りで計算した分配金額に比べて、実際に得られる分配金額は目減りしてしまう。

ちなみに複利運用については、運用期間が長く、かつ1年複利よりも半年複利、半年複利よりも1カ月複利というように、複利の計算期間が短くなるほど、その効果は高まっていく。

※すべて雑誌掲載当時

(撮影=市来朋久、宇佐見利明、坂本道浩 図版作成=ライヴ・アート)