図を拡大
日米の通貨供給量

自民党の圧勝で終わった昨年末の衆院選。安倍首相が、政権交代前から声高に訴え続けたデフレ・円高からの脱却を市場は支持し、円安・株高に転じた。自公政権は大胆な金融緩和と、10兆円規模といわれる大型補正予算で景気浮揚を図る。第一生命経済研究所の永濱利廣主席エコノミストは「実は、すでに日本経済は2012年11月に底打ちしている。今回の景気対策でさらに堅調になっていく」と見通す。

大型補正の背景には、何がなんでも13年夏の参議院選挙で勝利したいという政府・自民党の思惑がある。永濱氏は「それには今年4~6月期の経済指標が重要。最低でも実質GDP成長率2%は確保しようと、相当大胆な政策を打たざるをえない。その両輪が金融緩和と総額200兆円の『国土強靭化計画』だ」とも語る。

別名“アベノミクス”とも呼ばれる今回の経済戦略のモデルにしたのが、08年のリーマンショック後のアメリカの金融緩和策にほかならない。市場が期待する以上の2兆数千億ドルに上る大盤振る舞いを行い、住宅ローン担保証券や国債を購入し、デフレを回避したという成功例だ。

永濱氏は「当時、米国はデフレに陥っていなかったのに、マネーサプライを3倍以上にする手を打った。片や日本は、その間4割ほどしか増やしていない。日銀との政策協定で追加緩和が進めば、景気はさらに上向くだろう」と見る。が、金融緩和や公共事業だけで、日本経済が成長軌道に乗るかどうかは微妙なところ。「14年には景気が息切れする可能性が高い」という。

(ライヴ・アート=図版作成)
【関連記事】
6000億円 -不況を横目に躍進するオリエンタルランド
不況でも、なぜ高級ブランド品が売れるか
インフレ目標あざ笑う小売り・外食“価格崩壊”
テレビ需要“4年分”先食いで家電量販の業績急落
新宿伊勢丹はなぜ百貨店業界で1人勝ちしているのか