「定点観測をしていれば景気が読める」「10分あれば報道の真相がわかる」震災の復興シナリオから企業の大型合併、不況下で高い利益率を誇る業界の仕組みまで、世の中の事象を正しく見るコツを数字のプロが解説する。
小宮コンサルタンツ代表取締役
小宮一慶氏

伊勢丹新宿店といえば日本で1、2の集客力と売り上げを誇る百貨店です。「日本で一番○○が売れる」という売り場がたくさんありますが、なかでも特徴的なのは紳士服の中高級ゾーンの売り上げが大きいことです。

「失われた20年」といわれる景気低迷の中、家庭で何が最初に節約の対象になるかといえば、お父さんのスーツです。結果、どこの百貨店でも紳士服売り場が縮小されて、ミドルより少し上のアッパー層の男性が服を買う場所が百貨店からなくなってしまった。

伊勢丹新宿店はかつて「ヤングカジュアルが日本一売れる」といわれたヤングファッションの聖地ですが、いまでも品揃えから売り場づくりまで、充実ぶりは抜きん出ています。そして百貨店で一番売れないといわれる紳士服売り場でも、1人勝ちの結果を出しているところに伊勢丹の強さの秘密があるように思います。

※すべて雑誌掲載当時

小宮コンサルタンツ代表取締役 小宮一慶(こみや・かずよし)
1957年、大阪府生まれ。81年京都大学法学部卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。岡本アソシエイツなどを経て、96年小宮コンサルタンツ設立。『数字で考える習慣をもちなさい』『「1秒!」で財務諸表を読む方法』など著書多数。
(構成=小川 剛 撮影=市来朋久)
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