銀座の百貨店と主な商業施設/銀座 百貨店の増床とファストファッションのオープン

銀座の百貨店と主な商業施設/銀座 百貨店の増床とファストファッションのオープン

もうひとつ、現場で感じることがある。どんなにファストファッションが増えても、客は百貨店にはきちんとしたクオリティを求めているということだ。

「その声を聞きながら商品を提供し、親切に丁寧に説明していくところからすべては始まるのではないでしょうか」

宮崎を擁する松屋銀座も、婦人服においては模索が続く。長く使いたいというニーズが強い紳士スーツと違って、婦人服はトレンドに左右され、ライフサイクルも短い。実質、銀座店一店体制で、PBを作っても回せる店舗はほかにないため、リスクは大きい。

とはいえ、売り上げの柱となる婦人ファッションの強化は不可欠だ。松屋は来街者調査と顧客アンケートを実施し、一つの答えを導き出した。昨年から順次実施している服飾雑貨の売り場改革だ。09年7月には高級靴ブランドのジミーチュウを、10年2月にはクリスチャンルブタンなど5つの高級インポートブランドを揃え、2階はインターナショナルな雑貨売り場に変身を遂げている。執行役員(本店MD担当次長)の横関直樹は言う。

「調査の結果、インポート雑貨への評価が高かったので、ここを強化していこうと考えました。日本の女性は服飾雑貨に非常に詳しく、そう高い洋服は買わなくても、海外高級ブランドのバッグや靴は持っていたいという方が多い。そこに応え、ブランドの表現を殺さず、ショップ形式で展開しました」

1点10万前後の靴やバッグが並ぶ売り場は松屋銀座の新しい「顔」だ。ただし、現段階ではまだ道半ば。最終的には2階全体が華やかなインポート雑貨売り場になる計画だ。