庶民的でベタ、キタ地区ほど垢抜けないが、親しみやさと敷居の低さで大阪市民から愛されているミナミ地区の高島屋が新しくなった。2010年春から2011年にかけて30年ぶりの増床・改装を段階的に進め、出足は上々。売り上げは目標の10%増で推移している。

高島屋大阪店は9月に第二期の改装を終え、増床オープン。常務取締役で店長の増山裕氏(左)と副店長の高山俊三氏。

高島屋大阪店は9月に第二期の改装を終え、増床オープン。常務取締役で店長の増山裕氏(左)と副店長の高山俊三氏。

常務取締役の増山裕は言う。

「事前に大規模なイメージ調査を実施したところ、来街者調査では、高島屋ブランドに対して、『高級』『伝統』『洗練』というイメージを持つ方が多かったのですが、実際に店頭で買い物をする方の評価は『あまり高級感を感じない』『オシャレな商品がない』という回答ばかり。せいぜいが『ミドル向きの百貨店』『ちょっと高年齢な百貨店』との評価があるぐらい。梅田の阪急ならファッション、阪神なら食品というイメージがあるのに、高島屋に関してはこれというものがない。高島屋ブランドと店頭での評価のギャップの根本的な見直しが増床のテーマです」

目玉の一つが婦人服だ。1階・2階の特撰フロアには、ジョルジオアルマーニやドルチェ&ガッバーナなど新規6店を含む19のブティックが並ぶ。きらびやかでゴージャスな雰囲気はおそらく大阪一だろう。従来から同店が得意としているゾーンの強化は高級ブランドに目がない関西マダムの心をつかんだようだ。

化粧品売り場も大きく変わった。1.5倍に広がった売り場には、以前の倍の80ブランドが揃えられ、敏感肌対応ゾーン、自然志向ゾーンなど、什器や床、売り場演出も異なる6つのゾーンに分けられている。女性スタッフが企画から売り場構成まで一貫して手掛け、見やすさ選びやすさは格段にアップした。

客の評価が低かった飲食ゾーンは、いまや売り上げの牽引役だ。大食堂をはじめ、昔の百貨店然とした雰囲気は一掃され、店舗数は13店から35店に増加。テナント導入手腕で定評の子会社のデベロッパー・東神開発の力を得て、以前の3倍強の数字をあげている。