「定点観測をしていれば景気が読める」「10分あれば報道の真相がわかる」震災の復興シナリオから企業の大型合併、不況下で高い利益率を誇る業界の仕組みまで、世の中の事象を正しく見るコツを数字のプロが解説する。

日本マクドナルドが店舗の大型化に乗り出すといいます。今後3~4年かけて近隣への移転や新規出店を通じて、全体にある約3300店舗のうち、3割に当たる約1000店舗を広くするそうです。

少子高齢化や長引く所得低迷で外食マーケットが縮小傾向にある中で、大型店舗を増やすというのは、一見、逆行した戦略のように感じます。

実際、マクドナルドの10年12月期の連結決算を見ると、売り上げは約3230億円で、前年の3620億円から1割以上の減収になっています。ところが営業利益は前年の240億円から280億円に増えている。これは売上原価をうまくコントロールして圧縮できたことが大きかったようです。

収益構造が改善したもう一つの理由は不採算店舗の閉鎖。最近、マクドナルドの店舗が減っているような気がしていたのですが、2011年前期だけで433店舗を一斉閉鎖したということでした。

同社は90年代に小型店を中心に店舗網を拡大しました。しかし、小さな店舗では厨房スペースの制約などがあって一部のメニューが取り扱えなかったり、サービスが行き届かなかったりするケースがあったそうです。