住宅を建てる際にはどのようなことに気をつけるべきか。ノンフィクションライターの高橋真樹さんは「断熱性能に注意してほしい。日本の平均的な住宅に比べて断熱性能が高い家では、モデルケースの場合、年間の光熱費が約14万円もお得になる。車のように住宅も燃費を考えて購入したほうがいい」という――。(第3回)

※本稿は、高橋真樹『「断熱」が日本を救う 健康、経済、省エネの切り札』(集英社新書)の一部を再編集したものです。

住宅のあたたかさのイメージ
写真=iStock.com/Natalia Kopyltsova
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将来のお金が心配な人ほど断熱改修すべきだ

本稿では断熱と経済面の関係について解説します。いくら断熱したほうが健康に良いというデータがあっても、エコハウス(高気密・高断熱の家)にお金がかかりすぎるのであれば、一般の人には手が届きません。しかし、実は将来のお金が心配な人ほど、新築住宅ならエコハウスを選び、既存住宅なら断熱改修するべき理由があります。

新築の場合で説明します。エコハウスの初期費用は、確かに一般的な性能の住宅より費用が高くなります。とはいえ、最低限必要な断熱性能にアップさせるだけであれば、70万円程度から効果が見られます。さらに上の性能を求め、断熱等級4から、世界レベルの断熱等級7にアップさせる場合でも、300万円ほどです。数千万円する住宅1軒分の費用から考えれば、支払えない額とは言えないでしょう。そしてその差額は、いずれ回収することが可能です。

住宅にまつわるお金の話では、日本ではいつも初期費用ばかりが注目されてきました。でも、それでは結果的に損をすることになってしまいます。例えば、住宅購入を検討しているときに、立地や外観、間取りや設備などがまったく同じ2棟の住宅を紹介されたとします。Aの物件は2000万円で、Bは2300万円です。これだけの情報しかなければ、誰もがAを選ぶはずです。