人工甘味料が腸内細菌のバランスを崩す

中年太りを改善するには、食事と運動が重要ですが、もう1つ、腸内細菌のバランスも大事であると考えられます。

私たちの研究所でも、腸内細菌の研究を行っていますが、人工甘味料が腸内細菌のバランスを大きく変えてしまうことがわかっています。

缶コーヒーやコーラなどの清涼飲料水には、「ゼロカロリー」とか「糖類ゼロ」と書かれているのに甘い飲みものがあります。この甘さは人工甘味料でつけています。この人工甘味料が腸内細菌のバランスを変えてしまうのです。

飲料の甘味料
写真=iStock.com/Andrii Zastrozhnov
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人工甘味料入りの清涼飲料水が好きな人は、ルーティーンのように毎日飲む人も多いようです。それは、腸内細菌が食嗜好を変えてしまった結果なのかもしれません。

カロリーを抑えた食習慣に変えようと思って、そういった清涼飲料水に飛びつくと、今度は無意識のうちに、自分が人工甘味料入りの飲料を飲みたくなる。腸内細菌には、そうした働きがある可能性があるといわれています。

あるいは、ラーメンのように1つの器でまとめて食べるような食事ばかり食べるのも、腸内細菌を変えてしまう可能性があります。

牛丼やカツ丼のようなどんぶりもの、カレーライスなどもそうですが、これらの食事は糖質と脂質が多いので、そうした栄養素がドカンと腸の中に入ってくることで腸内細菌が変化し、どんぶりものを好むようになるのではないかという説もあります。

野菜が好きになることの効果

ポテトチップスなどを一気に一袋食べてしまうような人も、その可能性があります。ポテトチップスは、じゃがいもの糖質と揚げ油の脂質、そして塩分がたっぷり含まれています。

まさに前述のウルトラ・プロセス・フードの代表ともいえるものですが、好きな人は、この食嗜好を改めないと中年太りの改善は期待できないでしょう。

なお、食嗜好が腸内細菌によって変わるというのは、腸内細菌が脳に何らかのシグナルを送っているからではないかといわれていています。

食嗜好を腸内細菌が選択しているのか、脳が選択しているか。結論は今後の研究を待たないといけませんが、ダイエットを成功させるには、ウルトラ・プロセス・フードのような食品から離れることが大事だということです。

そのためには、腸内細菌のバランスを変えることが有効と考えられています。バランスをよくするには、食物繊維の豊富な野菜を食べるとよいといわれています。

野菜に含まれる水溶性食物繊維は、腸内細菌のエサになりますから、野菜が好きになると、腸内細菌も野菜が好きな腸内細菌に変わってくるでしょう。

また、ヨーグルトなどの発酵食品も腸内細菌のバランスを変えるといわれているので、発酵食品を摂るのもおすすめです。