なぜ日本人は「話すこと」に苦手意識があるのか。プレゼンアドバイザーの竹内明日香さんは「背景には、日本社会の構造的な問題がある。『話さなくても通じやすい環境』や『年長者に意見できないヒエラルキー構造』を変えなければいけない」という――。

※本稿は、竹内明日香『すべての子どもに「話す力」を』(英治出版)の一部を再編集したものです。

ビジネスマンの群衆
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「話す力」を育むために必要なこと

ここまでお伝えしてきた手法を駆使して目の前の子どもが話せるようになっていく様子を、私たちは確かに目撃してきました。8年間の取り組みの成果に手応えも感じています。

しかしそれでも、このままでは変化を起こせる範囲やスピードには限界があるとも感じています。なぜなら、教育現場だけの頑張りではどうにもならない、大きな構造上の問題も数多く存在するからです。

これまで多くの現場を回り、実際に先生方からも多くのお話をうかがい、さまざまな文献にも当たってきたなかで、日本の話す力を育むために乗り越えなければならない課題が4層にわたって存在するように感じています。

・「社会・文化」レベル
・「教育政策」レベル
・「学校経営」レベル
・「授業現場」レベル

授業現場で子どもたちの話す力を育む環境を整えづらいのは、授業に立つ先生方だけのせいでは決してありません。そうならざるを得ない、上層(「学校経営」「教育政策」「社会・文化」)の課題があるからなのです。

日本が抱える「4層のチャレンジ」

私はこの課題のことを「4層のチャレンジ」と呼びたいと思います。Challenge(チャレンジ)には、「課題」だけではなく「挑戦」という前向きな意味もあるからです。ぜひみなさんの多様な力を集結させて、一緒に挑んでいきたいと思っています。

ここからは、日本におけるこのチャレンジを上層の「社会・文化」から順番に見ていきます。

子どもたちが過ごす場所は学校だけではありません。教育現場と直接は関係ない家や外出先で聞こえてくる大人の会話からも、子どもたちは大きく影響を受けます。だからこそ、社会のあらゆる場所に子どもたちの話す力が後押しされる空気感や仕かけがあってほしいと思っています。

そのためには、次に紹介する3つの現状は日本に根深く存在するチャレンジだと感じています。