日本人の独特なコミュニケーション文化

①話さなくても通じやすい環境

日本人は民族の多様性が少なく、お互いに常識を共有しやすいため、多くを話し合わなくても通じると信じられてきました。「暗黙の了解」「阿吽あうんの呼吸」「行間を読む」「以心伝心」「腹芸」「空気を読む」といった、固有のコミュニケーション文化[※1]がそれを物語っています。

また、日本人は自分の意見を言うのを控える傾向があることがわかっています。会話の様子を分析したある調査によると、日本人どうしの対話では自分の意見を述べる叙述文が米国人どうしの対話に比べて少なく、その代わりに「そうですよね?」と相手に同意を求めるような疑問形が多いそうです[※2]。つまり、自分の意向よりも相手の意向をおもんぱかる文化ということです。たとえ相手を否定する場合でも、相手が話し終わるまでは待って、いったん承知してから私見を述べることが多いのです。

これらの特徴は必ずしも悪いことではないと思います。このようなスタイルが評価される場面も多々あるはず。ですがその傾向が強すぎた場合、「話す力」という観点から見ればマイナス要素になる可能性もあります。海外では何も言わずに聞きとげる時点で「同意している」と勘違いされてしまうこともあるのです。

根づいているスタイルが一長一短であることを自覚し、ときには自分の考えを積極的に伝える姿勢も持ち合わせられるとよいのではと感じています。

日本企業の管理職は「おっさんモノカルチャー」

図表1にある世界経済フォーラムの発表結果を見ると、G7各国のジェンダーギャップ指数の推移で日本は常に最下位にあり、ほとんど改善もされていないことがわかります。特に「経済」「政治」における順位が低く、「経済」の順位は156カ国117位(前回は115位)、「政治」の順位は147位(前回は144位)と悪化さえしています[※3]

【図表1】G7各国のGGI(ジェンダー・ギャップ指数)推移の比較
出典=内閣府男女共同参画局「G7各国のGGI比較」『共同参画 2021年5月号』より筆者作成

日本は主要各国と比べて在留外国人の比率が少なく、年功序列の組織も多いです。そのこともあってか、意思決定権者のほとんどは「中高年の男性」かつ「純日本人」という状況が続いています。日本GEの取締役やLIXILグループの副社長を務めた八木洋介氏は、ある講演会でこのような状況のことを「おっさんモノカルチャー」と痛烈に表現していました。

意思決定層に多様性が生まれ、コミュニケーションが盛んになることで、組織全体の「話す文化」も育っていくのでは、と想像しています。

大人の世界の話ではありますが、声を発さなくても通じやすいモノカルチャーな文化に慣れた大人が子どもと接すれば影響は及びますし、子どもたちがいつかこのような文化の組織に入っていけば、せっかく鍛えた話す力も損なわれていくのではと危惧しています。