アメリカ留学

母親と妹は、幕内さんが家出をしても、少しも気に留めていなかったようだ。家出をしてから約2カ月後に家に電話をしたところ、「1カ月くらい気付かなかった。郵便物の転送先から東京に行ったんだと知った」と母親は平然と言った。

音楽が好きだった幕内さんは、上京後、転がり込んだ先の男性の影響もあり、ミュージシャンの友人知人が多くできた。

約1年アルバイトをして稼ぎ、その後、靴店に就職すると、自分でアパートを借りて暮らし始める。

「当時の友達はメタルかハードロックをやっている人ばかりで、当時のロック界で有名な人と会う機会も少なくありませんでした。一緒に飲む機会も多く、飲み会で出会って友達になったりして、楽しく遊んで暮らしていました」

23歳くらいの頃、インディーズで活動していたバンドのメンバーと飲み会で知り合い、そのうちの一人と交際に発展。その1年後、やはり音楽つながりで、飲み会で知り合ったアメリカ人の男性に誘われ、オレゴン州に留学することに。交際相手の男性に相談すると、彼は快く送り出してくれた。同州では、その男性の友人である台湾人の女性から部屋を借りた。

約1年が過ぎ、幕内さんは帰国。遠距離恋愛を継続していたインディーズバンドの彼の元に帰った。英語での生活が楽しくなってきていた幕内さんは、内心、心残りだった。そこで彼に、意を決して、「あともう1年、語学留学したいんだけど……」と打ち明けると、受け入れてくれたため、同州に戻る。

それからまた1年後、「もう少しアメリカにいたい」と思った幕内さんは、彼に手紙を送ったあと電話で話し合い、彼とは別れることになった。(以下、後編へ続く

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