66歳の女性には、子供時代から病弱で大学卒業後も働いたことがない34歳のひとり娘がいる。30歳以降、メンタルが不調でほぼ寝たきりで外出も一切できず、食事もろくに取れずやせ細っていくばかり。2年前には夫もがんで急死。自分の死後、娘は生活していけるのかと、不安を覚え、FPと医師に助けを乞うた――。
開いた聖書と祈る手
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66歳母「無職の34歳娘は私の死後も生きていけますか」

外出が一切できなくなってしまったひきこもりの長女(34)。長女は就労が難しいので障害年金の請求を検討しているが、病院に通院することもできない。一体どうすればよいのか? そのような相談を持ちかけてきたパートで働く母親(66)から、筆者は事情を伺うことにしました。

■家族構成
母親(66)年金受給者 パートで就労
長女(34)ひきこもり 無職
父親は2年前に死亡

■収入
母親のパート収入 月額6万円
母親の公的年金(老齢年金および遺族年金) 月額14万円

■支出
生活費など 月額16万円

■財産
貯蓄 1200万円
自宅土地 2500万円

長女は幼い頃から体が弱く、熱を出して寝込んでしまうことが多かったそうです。あまり社交的ではなかったので、学校では友達と遊ぶより一人で静かに本を読むことを好んでいました。長女は大学まで進学しましたが、生来のおとなしい性格のためか、就職活動はなかなかうまくいきません。

「私は会社に就職することは難しいかもしれない。それならば本を書いて世に送り出したい」

いつしかそう思うようになったそうです。大学卒業後は就職することなく、家にこもり本を読んだり物語を書いたりしていました。

両親には子どもが長女一人だったこともあり、長女に対して理解を示し、口うるさく言うことはなかったそうです。

そのような環境の中でも、長女は納得いく作品ができず、新人賞などに応募するほどの勇気もなく、ただただ時間だけが過ぎていきました。

「自分は一体どうなってしまうのだろう?」

漠然とした不安を抱えながら、何も進展がないまま長女は30歳の誕生日を迎えました。

そんなある日の夜。家族と夕食を取っていた長女は、突如頭から血の気が引いていく感覚に襲われてしまったのです。今までに経験したことのない強い不安感に包まれ、両手で頭を抱えこみ悲鳴を上げました。びっくりした母親は長女を自室まで連れて行き、休ませることにしました。