営業部に貼り出してあった赤い棒グラフは、山岡由佳さんの実力を雄弁に物語っていた。成績を表す真っ赤な線が1本、用紙を飛び出し壁にも収まらず、天井をつたってひときわ長く伸びる。

日本生命
山岡由佳

1998年日本生命入社。6年目頃から仕事が楽しいと思うように。「最近就職した娘が、仕事のことを理解してくれるのがうれしい」。

専業主婦だった山岡さんが知人に誘われ、日本生命に入社したのは1998年。これまで社内グランプリを8回受賞。2008年度の「ニッセイクラブ員表彰」では約5万人の中から全国3位に輝き、2010年度も上位表彰の期待がかかる。社内だけでなく、世界中の生命保険と金融サービスの専門職のトップクラスのメンバーで構成されている組織「MDRT」の会員資格も06年から3年連続で取得している強者である。

そんな山岡さんだが、意外に人見知りをするほうだという。「人と話をするのは好きですが、誰にでも話しかけることができるわけではないんです」とはにかむ。

だからこそ、根気よく訪問先に通い、アプローチに時間をかける。何度か訪問していると、雑談の中からヒントが見えてくる。

「例えば、ファッション一つ取っても、世間話を重ねるうちにこの方はネクタイにこだわりがあるのでは、などと感じることがある。すると、そこから話が弾むようになります」と山岡さんは語る。

現場で常に意識するのは「もてなしの心」だ。初めて会う人であれば、小さなことでも喜んでもらえることを一生懸命探し出す。

見込みがあると感じても、すぐ提案書を持参することはしない。まずは相手の話をたくさん聞く。数分でも小さな話を積み重ね、信頼を築いていくのだ。