防衛大学校は神奈川県横須賀市小原台にある。卒業生で元自衛官のぱやぱやくんさんは「学生たちからは『小原台刑務所』や『ニューホテル小原台』と呼ばれている。新入生は1日に1回は入学したことを後悔するが、不思議な魅力がある」という――。

※本稿は、ぱやぱやくん『今日も小原台で叫んでいます 残されたジャングル、防衛大学校』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

防大卒業式/駆け出す卒業生
写真=時事通信フォト
防衛大学校の卒業式を終え、帽子を投げて駆け出す卒業生=2023年3月26日、神奈川県横須賀市

通称「小原台刑務所」「ニューホテル小原台」

防衛大学校(防大)は、神奈川県横須賀市小原台おはらだい(※1)にあり、学生たちからは「小原台刑務所」や「ニューホテル小原台」とも呼ばれ親しまれています。防衛省管轄の教育機関であり、陸・海・空、各自衛隊の幹部自衛官となる者を教育訓練している施設です(文部科学省が管轄する機関ではないので、「大学」ではなく「大学校」なのがポイントです)。

防大は、諸外国で言えば士官学校に該当する学校であり、学生の身分としては「特別職の国家公務員」です。そのため、学費・衣食住が無料のうえ、学生手当が支給され、防大を卒業すると「一般幹部候補生(曹長)」として任官します。

防大卒業後に与えられる「曹長」という階級は、一般入隊の隊員の場合だと定年まで勤務して到達する階級です。さらに、現在の制度では防大を卒業すると佐官への昇任はほぼ確定のため、自衛隊内部では「防大はエリートコース」と言われています。

1日1回は思う「防大になんて来るんじゃなかった」

一方で、防大は全寮制で規律は厳しく、ジューシーで甘酸っぱいキャンパスライフを想像すると間違いなく後悔します。どちらかと言うと、田舎のおばあちゃんが作った塩まみれの梅干しを想像したほうがいいでしょう。

そのため、残念ながら防大に進学した新入生は「防大になんて来るんじゃなかった」と少なくとも1日に1回ぐらいは思います。新入生は坊主頭やおかっぱ頭になり、朝から晩までシャウトし、精神と肉体の限界に挑むからです。進学よりも「出家」に近い学校であり、一般社会を娑婆しゃばと感じることさえあります。