※本稿は、朽木誠一郎『健康診断で「運動してますか?」と言われたら最初に読む本 1日3秒から始める、挫折しない20日間プログラム』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
7割の人は筋トレを全くしていない
「筋トレがブーム」と一時期よくメディアで紹介されました。でも、本当に?
全国の男女10万人(各5万人)を対象にした調査(※1)によると、週1回以上筋トレをする習慣がある人は全体の13.5%でした。そして、直近1年間で筋トレを「全くしなかった」と回答した人は77.1%でした。
あんなに盛り上がっているように見えたのに、実際には筋トレをしている人は、かなりの少数派だったのです。
でも、これって当たり前ですよね。だって、私たちには時間と気力がないのです。それなのに、世の中の筋トレへの精神的なハードルは、筋トレブームによって、かえって上がってしまったと言えます。
ゴールドジムのような有名ジムで、鍛え上げられたマッチョの方々が、歯を食いしばりながらストイックに己を追い込む――筋トレにはすっかりそんなイメージがつきました。自己啓発を絡めた筋トレの情報発信が人気になる一方で、それを「脳筋(「脳みそまで筋肉」の略)」と揶揄する向きも現れました。ただ、いずれにせよ、ほとんどの人は筋トレをしていません。
「キツい」「長時間」という思い込みが運動を遠ざけている
もちろん、ハードな筋トレを愛することは尊いのですが、仕事や子育てで忙しくする中で、「ああはなれない」と諦めてしまった人の方が多いのではないでしょうか。
「筋トレね、いいよね」とわかってる感を出しながら、やらない。私自身、仕事や子育てが忙しく、+5キロしてしまったこの3カ月、そんな状況でした。
しかし、です。人間とは強かな生き物で、ピンチの時に思わぬ活路を見つけることがあります。それがコロナ禍で、多くの人が時間や気力を奪われ、運動不足になった中で進んだ、医学研究の数々です。
僕はこれまで、運動は「キツいことを」あるいは「長時間」しなければいけないというのが思い込みだと繰り返し、述べてきました。こうした思い込みは、筋トレブーム然り、人を運動から遠ざけてしまいます。
筋トレも、健康のためなら実は、「超手軽」でよかった。それを裏づける研究が、この数年、次々に発表されています。