健康診断で「メタボリックシンドローム」の基準に引っかかったら、どうすればいいのか。医療記者の朽木誠一郎さんは「メタボ健診は『人を健康にする効果に乏しい』という研究結果もあり、あまり気にしなくてもいい。ただし、健康診断そのものは『受けて終わり』にしてはいけない」という――。

※本稿は、朽木誠一郎『健康診断で「運動してますか?」と言われたら最初に読む本 1日3秒から始める、挫折しない20日間プログラム』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

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“メタボ疑惑”は、便秘のせい?

なぜ前回の健康診断で、実際には問題なかった私が、メタボリックシンドロームの基準に引っかかってしまったのでしょうか。原因として可能性が高いのは「お通じ」です。

長年ダイエットを繰り返した経験から、お通じ、つまり便秘がバカにできない負のインパクトを与えることを、私はよく知っています。便秘気味のとき、体重が平気で1~2キロ増えてしまう経験に思い当たる人は、だいたい同志です。お通じが滞れば、物理的にお腹がぽっこりしてきます。単純な重量だけでなく、ガスがまるなどして、常に「お腹が張っている」状態に。

ここで都合の悪いことに、メタボのチェックでは、腹囲はウエスト周囲計、つまりおへその高さの腹囲を測ることになっています。単純に、お腹が張っていれば、それだけ腹囲が増えてしまうのです。

お通じがよくない状態で、お腹が張っていると、腹囲5センチ増なんてあっという間です。慢性的な便秘が続けば、10センチ増だってあり得ます。

便秘のせいで脂肪5~10キロ増と同じことに

厚労省の2019年の調査(※1)では、便秘を自覚している人は、人口1000人あたり男性で34.8人、女性で43.7人。健康診断のとき、一部の人は本来の腹囲よりも大きくなっている可能性が高いのです。

単純に脂肪が増えていた場合、太くなった腹囲1センチは、脂肪ほぼ1キロに相当するとされます。お通じが悪いだけで、脂肪5~10キロ増と同じことに。これを「定期的な運動」「適切な食習慣」で解消しようとしたら、本来、そこそこストイックに取り組んでも、半年~1年くらいかかるでしょう。

ちなみに、よくダイエット企画などで「2週間で5キロ」などと華々しくアピールされることがありますが、その中には5キロ分の便秘が解消されただけ、あるいは水分が汗や尿として出ただけ、というケースも多いとみるのが自然です。

便秘のせいで脂肪5~10キロ増と誤解され、メタボと判定、健康診断で引っかかってしまうとしたら、何だかバカバカしいですよね。

でも、今回の私の騒動は、実はメタボ健診そのものの問題と、同じてつを踏んでいるのです。