※本稿は、ぱやぱやくん『今日も小原台で叫んでいます 残されたジャングル、防衛大学校』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
帰省してテレビを見ると浦島太郎状態
防大生はテレビを見る機会がほとんどなく、情報源は新聞か雑誌、ネットになります。夏季休暇などに帰省して久しぶりにテレビを見ると、「このアイドルグループはなんだ?」「このお笑い芸人は誰?」と浦島太郎状態になります。
また、最近のメディアは「流行り廃り」のピッチが速いため、「ようやく覚えたと思ったらテレビからいなくなっていた」というケースさえあります。
このように、若者の間で流行っているドラマなどの話題にまったくついていけないため、一般大学に通う同級生の価値観にもついていけません。
例を挙げると……
・若者に人気の髪型が分からない
・流行している音楽が分からない
・イケている服装が分からない
・人気の食べ物が分からない
・バイトの大変さが分からない
・若者に人気のホットスポットが分からない
……といった感じです。
若者にはモテないが年配の方にはモテる
一般大生に流行りのギャグをやられても、「何それ?」と頭に「?」が浮かび、「それのどこが面白いの?」とツッコミを入れたくなります。一方で、一般大の同級生に防大での生活を語ると、「何それ?」とまったく理解してもらえず、自衛隊のことを話しても「ふ〜ん」となるため、一般社会とどんどんギャップが広がっていくことに気がつきます。防大生のメンタリティは「大学生」というよりも「自衛官」に近く、ここでも娑婆の世界との断絶を感じるようになります。
ただ、防大の話は同年代にはまったく受けませんが、年配の方には大いに受けます。日頃の訓練や生活を話すだけで、「立派な人間だ!」「素晴らしい!」「国家の宝だ!」とベタ褒めされるため、悪い気はしません。
若者にはモテないが年配の方にはモテるのが防大生であり、若者としては少し寂しい気がします。しかし、大学生が好きなポップカルチャーは、数年もすれば忘れ去られてしまうような内容ですので、今にして思えばそんなに悩む必要もなかったなと思います。