※本稿は、今瀧健登『エモ消費 世代を超えたヒットの新ルール』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
世界人口の約25%、消費の中心となるZ世代への対応
Z世代は、商品やサービスの機能的な価値や金額的な部分だけではなく、「エモ」を基準に情報をシェアします。
エモとは、ひと言で表せば「ハッピーな共感」です。
商品やサービスそのものではなく、それらを消費することで小さな幸せを得ることができる。そうしたメッセージへの共感が彼らにとっての「買う理由」になり、多くの人へとシェアする動機となります。
こうしたことから、消費は「5.0」の時代を迎えていると感じます。過去の消費のかたちに続く「エモ消費」です(※)。
多くの人にとっての購入基準に「エモ」が含まれるようになる。どんなビジネスでも、取り組みは必須です。
エモ消費のカギとなるのは、いわゆる「Z世代」です。Z世代の定義には諸説ありますが、本書では「1990年代後半から2010年頃に生まれた世代」と考えます。2023年現在では、13~27歳くらいです。
よくある勘違いとして、「Z世代」という言葉を「ゆとり世代」や「団塊ジュニア」と同じように扱う人がいます。しかし「Z世代」はこれらのように、日本国内だけで使われている言葉ではありません。
Z世代はアメリカが発祥の用語です。アメリカでは1960年代から1970年代に生まれた世代が「ジェネレーションX」、1980年から1995年前後に生まれた世代が「ジェネレーションY」と呼ばれており、その次の世代だからということで「Z」とされています。
2022年の時点でZ世代は世界の人口の約25%を占め、これからのビジネスにおいて消費の中心層となる世代だといわれています。後に改めてお話ししますが、上の世代とは価値観や意識、消費行動の基準が大きく異なることから、マーケティングや商品開発の手法そのものを変えることが求められている。そうした点から、近年注目されています。
ただ、Z世代が人口の多い層だというのは世界的な話であり、日本ではボリュームのある世代ではありません。
少子高齢化が進むなかで、「なぜZ世代に着目する必要があるのか?」と思われる方もいるでしょう。母数の少ない世代にアプローチするより、もっとボリュームのある世代に意識を向けるべきだろうということです。
しかし、これからの日本のビジネスにおいても、Z世代に向けた取り組みは必須です。その理由について見ていきます。