Z世代に刺さるコミュニケーション

Z世代は将来の市場成長の可能性が高く、拡散力も高い。本書で紹介する「エモマーケティング」のターゲットとしては、Z世代を入り口に考えます。

それでは、Z世代に刺さる発信とはどんなものなのか。それを考えるために、ほかの世代と比較したZ世代の特徴と併せて、押さえておくべきポイントを見ていきます。

まずは、SNSを通したコミュニケーションです。

上の世代の方でも連絡の手段としてSNSを使うことは日常的ですが、雑談やおしゃべりのためにSNSを使うことは少ないと思います。誰かに聞いてほしいことがあれば、会社で同僚に話したり、友達とご飯を食べながら話したり、リアルの場が多いのではないでしょうか。

もちろんZ世代もリアルでのやり取りはありますが、物心が付いたときから、SNS上でも常にコミュニケーションを取っています。

日常的なコミュニケーションは、LINEが主流です。連絡が必要なときはもちろん、「今日は早起きできた」「電車が混んでる」「雨降ってきたね」といった、特に目的のない友人との雑談もLINEでしています。

1対1のやり取りだけではなく、LINEグループもたくさんあります。学生であればクラスのグループ、部活のグループ、仲のいい友達同士のグループ。社会人になれば、それに加えて同僚や趣味のグループなどもあります。

こうしたコミュニケーションを、日常生活を通してずっと行っています。用件を伝えて終わりではなく、LINEの中で常に途切れずおしゃべりしているような感覚です。

久しぶりに会っても「久しぶり」と思わない

Z世代が友人とのやり取りのために使うツールとしては、ほかにもInstagramのストーリーズがあります。

上の世代の方は、Instagramをコミュニケーションツールと捉えることは少ないと思います。誰かの投稿を見たり、自分で投稿したりするものという感覚が強いのではないでしょうか。Z世代にとってInstagramは、友達全員に向けて自分の情報を発信する場のようになっています。

例えば「今日はカレーを食べた」「原宿のカフェに行った」「こんな映画を見た」といった日常的な事柄もあれば、「こんな会社に入りました」「こんな仕事をしています」「仕事でこんなことがあった」といった仕事に関する情報も発信します。

特別なお知らせとしては、結婚報告もあります。「今日、入籍しました」「披露宴をしました」といった情報をInstagramのストーリーズに上げるだけで、普段交流のない友人であっても、「ああ、あいつ結婚したんだ」とわかります。

スマホ1つでお互いの普段の暮らしや仕事、さらにライフイベントなども知ることができます。そのため、数年ぶりに友達に会っても、「久しぶり」という感じがしません。

上の世代の方では、中学校卒業以来連絡を取っていなかった人と会えば、「うわー、懐かしいね」「めっちゃ変わったね」「いま何しているの?」といった話になると思います。

一方で、Z世代の人たちは、直接会ったり話したりしていなくても、相手が昨日何を食べたのかさえ知っています。

ずっと一緒にいたかのように、お互いのことを知っている。これはSNSがあってこそのメリットだと思います。