消費者が本当に求めている情報とは何か。起業家の今瀧健登さんは「今の時代はZ世代に共感される発信により、すべての世代に広がっていく。Z世代にとって『買う理由』となるのは、『大特価』『小籠包が一番おいしい』などの機能面や金額的な魅力ではなく、エモを感じられるシチュエーションである」という――。

※本稿は、今瀧健登『エモ消費 世代を超えたヒットの新ルール』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

ゲームに夢中な男性とスマホに夢中な女性のカップル
写真=iStock.com/PonyWang
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TikTok開設1年でフォロワー約35万人、2億回再生へ

弊社がプロデュースしているプロジェクトの1つに、マッチングアプリ「タップル」の公式TikTokアカウント『幼馴染と共同生活中(略称:「おさ活」)』があります。

このアカウントでは、幼馴染との共同生活というシチュエーションを通して、見ると恋したくなるようなショート動画を投稿しています。アカウント開設1年でフォロワーは約35万人、総再生回数は2億回を突破しています(2023年3月末現在)。

タップルの飯塚勇太社長からのご依頼を受けてスタートしたもので、「恋愛総量を増やす」をテーマにしたブランディングの一環です。

日本では少子高齢化や長引く不況により、恋愛や結婚をしない若者が増えている。そのなかで多くの人たちを「恋愛したい」という気持ちにできれば、会社としての社会的責任を果たすことにも繋がるのではないか。そのためにどうすればいいのかというご相談でした。

誰かに「恋をしたい」と思ってもらう。そのためには、「キュン」とする気持ちの共感が必要だと考えました。

その発信方法としては、文字や画像よりも動画のほうが情景を伝えることができ、自分を投影しやすい。そこで、縦型動画のプラットフォームであるTikTokで配信することになりました。