ヒットする商品は何が違うか。起業家の今瀧健登さんは「僕たちが企画し、Z世代を中心にヒットした『ウェイウェイらんど!』というお酒とすごろくがセットになった商品は、マスの中の文字を小さくしている。みんなが覗き込むことで、頭がぶつかりそうになる『エモい』距離感を演出できるからだ」という――。

※本稿は、今瀧健登『エモ消費 世代を超えたヒットの新ルール』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

巨大な画用紙に同時に絵を描き込んでいる二人の子供
写真=iStock.com/mapo
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商品とひも付く「エモシチュエーション」を考える

ここから、具体的な商品にひも付くエモシチュエーションを考えます。このときも、1人で発想するのではなくプロジェクトチームで話し合います。

その上で、注意しておきたい点があります。

自分がマーケティングする商品やサービスが、異性や別の年齢層向けだったりする場合もあるでしょう。あるいは、「Z世代向けの発信だから」と、自分とは関係のないものだと考えてしまう。それは過ちです。

共感を生むためには、売るものが自分自身に結び付くことが大事です。「自分が欲しいと思うものでなければ、人には売れない」というのは、どんなビジネスにも共通する鉄則です。

自分の存在しないマーケティングをしようと思うと、とても難しくなってしまいます。何を基準に「いい」「悪い」と考えればいいのかがわかりません。

もちろん、例えば中年男性が化粧品のマーケティングをするのであれば、直接エモを感じることは難しい。それでも、その世界に自分自身がいることが大事です。

そのためには、商品のターゲット層を通して、商品を自分に結び付けます。

身の回りに化粧品を使う人はいるはずです。自分の子供、妹、親戚、会社の後輩、同期の子供でもいい。そうした人たちにあげたくなる商品はどんなものなのか、という視点で考えます。この場合、買うのは自分ですから、自分自身をターゲットにすることができます。

逆もしかりです。若い人が年配向けの商品についてのエモシチュエーションを考えるのであれば、身の回りの人を介して考えるようにしましょう。

【図表】ターゲットを通して商品を自分に結び付ける
出典=『エモ消費 世代を超えたヒットの新ルール』(クロスメディア・パブリッシング)