健康で長生きするためには何が必要なのか。ハーバード大学医学大学院精神医学教授のロバート・ウォールディンガー氏とブリンマー大学心理学教授のマーク・シュルツ氏は「慢性的な孤独感は、1年あたりの死亡率を26%高める。幸福に暮らすためには人間関係の洗い直しが重要だ」という――。
※本稿は、ロバート・ウォールディンガー、マーク・シュルツ『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない』(&books/辰巳出版)の一部を再編集したものです。
慢性的な孤独感は1年あたりの死亡率を26%高める
孤独で寂しいときは、痛みを感じるものだ。単なる比喩ではない。孤独は身体的に物理的な影響を与える。孤独感があると痛みに敏感になり、免疫系の働きが抑制され、脳機能が低下し、睡眠の質が悪くなり、すでに孤独にさいなまれていることによる疲労感や苛立ちがさらに増す。最近の研究によれば、高齢者にとって孤独感は肥満の2倍健康に悪く、慢性的な孤独感は1年あたりの死亡率を26%も高める。
英国の「環境リスクに関する縦断的双生児研究」は最近、成人期初期における孤独感と、体調不良やセルフケアの関連を報告した。今も継続中のこの研究の被験者は、1994年と1995年にイングランドとウェールズで生まれた2200人超だ。彼らが18歳のとき、どのくらい孤独だと感じているかを尋ねた。
孤独感が強い被験者ほど、メンタルヘルスの問題を抱えたり、健康リスクの高い行動をしたり、ストレスに対して良くない対処法をとったりする傾向が見られた。加えて、現代社会には孤独がはびこっており、問題はさらに深刻化している。