気分が落ち込んでしまったとき、どうすればいいか。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「何をするにも億劫なときほど、少し無理をしてでも人と会う約束をするといい。人と話をすると自然と交感神経が上がり、活動的になれる」という――。

※本稿は小林弘幸『自律神経が整えば、仕事も人間関係もうまくいく』(KADOKAWA)を再編集したものです。

アジアの男は何かについて動揺し、夕方に屋外に座って
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ストレス要因と出合ったとき、体の中では何が起きているか

仕事、通勤、人づき合い……日常生活のなかでストレスになる要因はたくさんあり、そのすべてをなくすことは不可能です。かといって、ストレスをすべて受け入れ、我慢ばかりしていたら、それこそ体がもたないでしょう。

そんなとき、自律神経を整える意識を持つことが大切です。

たとえば、上司に怒られたとき、あなたは落ち込んだり、腹を立てたり、緊張して体がこわばるかもしれません。ストレス要因に出合ったとき、体のなかでは過剰に交感神経が高まり、副交感神経が低下します。すると、血管が収縮し、脳に十分なブドウ糖や酸素が運ばれなくなり、その結果、感情がうまく抑えられなかったり、冷静に思考できなかったりします。胃が痛くなったり、肌が荒れることもあるでしょう。

医師の立場から言えば、「上司に怒られた」というストレス要因に出合ったのなら、思考やメンタルをどうこう言う前に、まずやるべきは「体の状態を整えること」です。そうでなければ、ストレス要因をポジティブにとらえることなどできません。ストレスをメンタルで処理するのではなく、フィジカルにアプローチすることが肝心。具体的な方法を説明しましょう。