ストレスになっているのは「怒られた」という事実ではない

では、ストレス要因に出合ったとき、過度に交感神経がアップして、副交感神経が下がってしまう状態にならないようにするには、どうしたらいいのか。そのキーワードのひとつが「流れを変える」です。

ストレス要因に出合い、マイナスの反応をしてしまうと、その流れからなかなか抜け出すことができません。たとえば、上司に怒られた場合、当然ながら落ち込んだり、怒りの感情が芽生えるでしょう。でも、医学的に言うなら、ストレスになっているのは「上司に怒られた」という事実より、「落ち込む」「怒る」というあなた自身の感情のほうです。

この感情によって交感神経が跳ね上がり、人によっては副交感神経が極端に落ちて血流が悪くなります。脳に酸素やブドウ糖が十分に運ばれないため思考力は低下し、感情の抑制が利かずにイライラして、さらに仕事のパフォーマンスを落としてしまいます。

不安や怒りがあるため、夜になっても副交感神経が十分に上がらず、快適な睡眠がとれないまま翌朝を迎えることになります。今度は交感神経優位に切り替わって、さらに副交感神経の低さが際立ってしまい、その翌日もイライラした感情になりやすく、怒られた上司の顔を見るだけで感情が乱れ、仕事の効率はさらに悪くなって気力も失われていき……。

このように果てしなく「負の連鎖」が続いて、悪循環から抜け出せなくなるのです。

負の連鎖を断ち切るために、デスク周りを一箇所だけ片付ける

じつは、人間はもともと「流れに乗る」のは得意。調子がいいときは、ドンドン前に進んでいくことができます。つまり、「プラスの流れ」が続いているときは何の問題もありませんが、ひとたび「マイナスの流れ」が始まってしまうと、どんどん負の連鎖にはまって抜け出せなくなるわけです。

そこで、大事になるのが「流れを変える」というアプローチ。具体的な方法のひとつが「片づけ」です。

私が推奨するのは「調子が悪いときに、1カ所だけ片づける」という方法です。嫌なことがあったり、やる気を失っていたり、憂鬱な予定が控えているときこそ、仕事をする場所の1カ所だけでいいので片づけてみてください。