「仕事があるだけでありがたい」と思えるか

朝、起きたときに晴れていたら、「出社するときに濡れずにすむよ、ありがたい、ありがたい」と口に出し、もし雨が降っていても、「農家の人たちが喜ぶだろうな、ありがたい、ありがたい」と、どんな状況でも感謝するようにするのです。

食事のときもそうですね。おかずなどなくとも、「白いごはんが食べられるだけで幸せだ、ありがたい、ありがたい」と言って食べると、本当においしく感じることができますし、幸せな気持ちになります。

人生のすべてに感謝できるようになると、なぜか抑うつになりにくくなります。おそらく、感謝の気持ちと、抑うつの気持ちというものは両立しないので、ポジティブな感謝の気持ちが前面に出てきて、抑うつ感のほうは相対的に追いやられてしまうからでしょう。

愚痴や不満は、なるべく持たないほうがいいですね。

「どうしてこんなに給料が安いんだ」などと不満を持っていると、気持ちが落ち込んでしまいます。

その点、「仕事があるだけでありがたい」と感謝するようにすると、気持ちが前向きになりますし、幸せに生きていくことができます。心が幸せで満たされていると、気持ちも弾みますし、ダラダラしなくなるものです。

「私は、○○だ」と10回くらいつぶやくと仕事効率が上がる

仕事ができる人のことを思い浮かべるだけでも効果的ですが、さらにその本人になりきってしまうのもいいアイデアですね。

「○○さんなら、どのように仕事をするだろう?」ではなく、「私は、○○だ」とモデル(手本)の人物になりきってしまうのです。

ロシア・モスクワ大学のウラジミール・ライコフ氏は、「ロシアの作曲家セルゲイ・ラフマニノフになったつもり」あるいは、「ウィーンの天才バイオリニスト、フリッツ・クライスラーになったつもり」で楽器の演奏をしてもらい、その演奏を専門家に聴かせて得点をつけてもらいました。

すると、ただ演奏をするより、「○○になったつもり」のグループのほうが、はるかに上手に演奏できることがわかったのです。

いやあ、本人の思い込みの力というのは、すごいものですね。

ちなみに、ライコフ氏は、「フランスの数学者アンリ・ポワンカレになったつもり」あるいは、「ロシアの数学者アンドレイ・コルモゴロフになったつもり」で数学の問題を解かせると、やはり得点がアップすることも確認しています。

さらには、「アメリカのチェスプレーヤーのポール・モーフィーになったつもり」でチェスをやらせると、チェスの腕前があがってしまうことも突き止めています。

ダラダラと仕事をしている人は、自分で仕事をしようとしているのが問題なのです。

自分ではなく、他の人になりきりましょう。そのほうが、仕事もスイスイこなせるようになりますから。だまされたと思って、仕事ができる人になりきってください。

モデル(手本)のまねをするのはよいことですよ。

昔の人たちは、みなこれをやっていました。今のように、先輩や上司が丁寧に仕事を教えてくれることはなかったので、仕事の技は「見て盗む」しかなかったのです。

内藤誼人『ダラダラ時間をリセットする最新心理学BEST60』(春陽堂書店)
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先輩や師匠がやっていることを見よう見まねでやりながら、手本の人物と自分を重ね合わせながら仕事をすることで技量を磨いたのです。

やる気が出なくて、ついついダラダラしてしまう、という人は、エネルギッシュな人になりきるようにしてみてください。

燃える闘魂と呼ばれたアントニオ猪木さんになったつもりになれば、自然と全身に力がみなぎってきて、仕事への取り組みも熱くなるような気がするのですが、どうでしょうか。

ただ何となく仕事を開始するより、「私は○○だ!」「私は○○なんだ!」と10回くらいつぶやいてから始めたほうが、明らかに仕事の能率や生産性も変わってきますよ。

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