行動を変えたいとき、何をすればいいのか。心理学者の内藤誼人さんは「どんな心の初期設定をするかで、人の行動は大きく変わる。ソフトバンク創業者の孫正義さんは、たくさんの稟議書に対して、48時間以内に『イエス』『ノー』の意思表示をしなかったら、自動的に『イエス』となるシステムで仕事をしている」という――。

※本稿は、内藤誼人『「ダラダラ時間」をリセットする最新心理学BEST60』(春陽堂書店)の一部を再編集したものです。

銀座のソフトバンク
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自分が悪いのではなく、会社のポリシーが悪い

ダラダラしてしまうのは、自分が悪いのではなく、会社が悪い、という可能性があります。

私は、あまり他人に責任をなすりつけることが好きではなく、自助努力でどんな現状をも切り開いていく姿勢を重視しているのですが、そうはいっても会社が悪い、ということも可能性として十分に考えられます。

特に関係しているのが、会社のポリシー。

会社の基本的な理念というか、ポリシーがあまりに抽象的なものですと、そこで働く従業員はいまいち気分が乗らなくなってしまうことが知られているのですよね。仕事をすることに意味が見いだせないと、モチベーションも上がらないのです。

アメリカ・ペンシルベニア大学のアンドリュー・カートン氏は、151の病院について、その病院が掲げているポリシー(ビジョン)と、スタッフの仕事ぶりについての調査を行いました。

会社のポリシーは、大きく2つの群にわけました。抽象的なポリシーと、具体的なポリシーです。それぞれの例は、次のような感じです。

抽象的なポリシー
「すべての患者に最高の医療を!」
具体的なポリシー
「『あの病院は最高だった!』とすべての患者が友人に話したくなるような医療」

さて、それぞれの病院で働くスタッフについて調べたところ、具体的なポリシーを掲げている病院で勤務するスタッフのほうが、張りきって仕事をしてくれることがわかりました。また、そういう病院のほうが、患者からのウケもよく、満足度も高かったそうです。

みなさんが勤めている会社では、どんなポリシーが掲げられているでしょうか。あまりに漠然としているというか、抽象的すぎるポリシーですと、ひょっとしたら、それが原因で、ダラダラしてしまっている可能性がありますよ。

私たちは、具体的な目標を掲げてもらえないと、やる気も出ないのです。抽象的な目標には人を動かす力はありませんから。

とはいえ、「私が悪いんじゃない、会社のポリシーが悪いんだ」と責任を転嫁するのも、あまり感心できません。

実際、会社が悪いということがかりに正しかったとしても、それでもやはりダラダラしていてよい、ということにはなりません。本書を読んで、いろいろと自分なりにダラダラしない工夫をこらしてみてください。