休日はどのように過ごすのが理想的なのか。早稲田大学の西多昌規教授は「しっかり休むことを目的にするなら、休日の朝にメールをチェックしておいたほうがいい。無理にオンとオフを分けようとすると、休み明けのメール蓄積とその処理に対する予期不安で、スッキリしない休日になる恐れがある」という――。(第2回)

※本稿は、西多昌規『休む技術2』(だいわ文庫)の一部を再編集したものです。

メールをチェックする男性
写真=iStock.com/Tippapatt
※写真はイメージです

休日くらいメールを見ないでおきたいが…

みなさんは、休日を含む勤務時間外に、仕事のメールチェックをしているでしょうか?

わたしのような裁量労働制の大学教員は、一年365日、起きている時間はほとんどメールをチェックしています。大学からの通知やメーリングリスト、ダイレクトメールを含めると、一日に平均して100通ぐらいは受け取っています。もっと多いという人もいることでしょう。週末に一日でもメールをチェックせず放置したらと、考えただけでもゾッとします。「メール蓄積地獄」から逃れるため、休日も旅行中も、メールをチェックして必要があれば返信する、という人は多いと思います。

「本当は休日くらい、メールも見ないでオフにしたいが、月曜日のメール数を思うと、精神的に休めない」

この件についてたずねると、会社員からわたしの身近では大学の事務職員のかたまで、メールが業務の重要な部分を占めている職種の人は、メールチェックをオフにしたいけれどできない心理にすごく同意してくれます。

業務時間外のメールについては諸外国でも問題となっていて、フランスでは既に2017年、勤務時間外や休日の業務連絡を拒否できる「つながらない権利」を認める法律が施行されています。休暇中でも仕事のことを考えず、心も身体もしっかり休ませるためには、努力義務ではなくちゃんと法律で決める必要があるということですね。

この「つながらない権利」は、外国の企業を中心に広まってきていますが、部分的に取り入れている日本企業もあるようです。たとえば三菱ふそうトラック・バス株式会社では、2014年から長期休暇中にメールを受信拒否、自動削除できるシステムを導入しています。しかし、仮に日本で完全に「つながらない権利」を行使できるようになったら、どうなるでしょうか。