睡眠の質を高めるにはどうすればいいか。早稲田大学の西多昌規教授は「スマホをベッドに持ち込まないほうがいい。2020年にアメリカの科学誌『Sleep』に発表された論文によると、夜のスマホ使用によってうつ病の発症率が上昇し、対人関係での問題発生率の増加する。夜間モードにしても睡眠の質は変わらないため、とにかくベッドに持ち込まないほうがいい」という――。(第1回)

※本稿は、西多昌規『休む技術2』(だいわ文庫)の一部を再編集したものです。

真夜中に暗闇の中でベッドの上にスマートフォンで若い女性のテキストメッセージ
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夜のスマホ使用には健康リスクがある

「睡眠の質を上げる」ことを謳ったサプリや飲み物が人気ですが、就寝と起床のリズムを整えたり、サプリなどの力を借りるだけでなく、光の使い方を見直すことで、体内時計が整い、よい睡眠で身体と脳をゆっくり休めることができます。

朝の光は、体内リズムを朝型に前倒ししてくれるだけでなく、夜にメラトニンの分泌を高めます。メラトニンは、眠りのホルモンとも呼ばれる物質で、通常、夜中が分泌のピークになります。午前中に強い光を浴びておくと、約12~15時間後の夜中にかけて、メラトニンが活発に分泌されます。朝の光は、夜の睡眠スイッチをオンにする役割も果たしているのです。

とはいえ、光はいつ浴びてもいいわけではなく、夕方以降、特に夜に明るい光を浴びるのは、睡眠にとってマイナスです。夕方以降に明るい光を浴びると、メラトニンの分泌が低くなってしまいます。不思議なことに夜の光には、朝の光とは真逆の効果があるのです。

夜の光といえば、現代人にとっては、スマホやパソコンからのブルーライトの問題があります。スマホが睡眠に与える影響も次々と明らかになってきています。2020年にアメリカの科学誌『Sleep』に発表された韓国の研究グループの論文では、夜のスマホ使用が、次のような項目と相関があったとしています。

・うつ病の発症率が上昇
・強い不安を経験
・対人関係での問題発生率の増加
・人生の満足度の低下
・罪悪感と自己批判の増加

この結果からは、夜にスマホを使用すると、ロクなことがないのがわかります。では、夜のスマホをやめると、睡眠の質はよくなるのでしょうか。